カテゴリ:音楽
少しの間弾かずにいたら、つまずくようになってしまっていた。鳴呼。
ジョルジュ・サンドやアルフレッド・デュ・ムセの様にショパンを笑い飛ばせないアタクシ。 そして遅れを埋めるより、とりわけ簡単な「子供の情景」(シューマン、Op. 15、『トロイメライ』など)を弾いて落ち込むのをふせいでいたアタクシ。 「子供の情景」の様に明るそうでいて結構根が暗く、考えすぎてしまうアタクシ。 「グランドピアノ買おうよ」と言われ続けているのにアタクシじゃグランドピアノが可哀想、と踏み切れないでいる。 秋に、異国の都市に遊びに行った時、いつも泊まる小さくお洒落なホテルのとなりのピアノ店のショーウィンドーにとんでもないグランドがあった。スタインウェイのなんとアクリル製、ショッキング・オレンジとライム・グリーンの鍵盤。透明な蓋に知る人ぞ知るデール・チフーリィのアクリルの落書き。ほぇっ。 思わず店に入ると店員の上品なスーツ姿のおじさんがなんとアタクシを覚えていてくれた。「ああ、いつか 9フィートのコンサートグランドで演奏してくれたお嬢さんじゃないですか。」一日に何名もあのコンサートグランドを弾いていたはずなのに、彼がなぜアタクシなんかを覚えていてくれたのは... 恥ずかしくて書けない。 ドラマチックとも気違いじみたとも言えるショーウィンドーのグランドは、「チフーリィ限定版」だそうで、いくらだったかは忘れたが目玉が飛び出す様な額だったのは覚えている。 だれか、あれを買った人がいるのだろうか。まさか、と思うが、やっぱりいるんだろうなぁ。 それに、その上に、さらに曰く付きだった。アタクシのアイドル、ラン・ランがそれで演奏したと言うではないか。 鳴呼、ラン・ランのあのくりくりっとした大きな明るい茶色い眼。一度しか会ったことがないのに、アタクシの方が遥かに年上なのに、あの眼の異様な輝きを思い出してときめいてしまう。あの眼光は、普通ではない。 そういえば、ラン・ランが弾くと「子供の情景」の真の意味が初めて解るような気がする。アタクシは「天才」という言葉がきらいだが、ラン・ランは天才的、というしかない。 今晩もため息。アタクシってミーハー(死語?)だったのかしら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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