カテゴリ:不思議な友
アタクシは同僚・暴君Jが大好きだ。彼女ほど決断力があり心の純白な人は稀であろう。まっすぐな輝く眼差しで突進する様に毎日生きている素晴らしい女性である。だが彼女は強烈な性格なので、友人が少ない。 「広く浅くよりも少なく深くさ、がははは。」 なのだそうだ。 実はJとこの女性医学専門の病院に訪れるのは初めてではない。18週間目の初めての超音波検査と、その数ヶ月後の二回目の超音波検査にも付き合っているのだ。本来なら夫のDが付き添うはずだったのだが、あいにく両日とも彼は裁判で時間が取れなかったため、アタクシがわくわくと付き添わせてもらった。 るんるんるん♪と鼻歌まじりで超音波室へ一緒に案内される。Jは緊張でがっちんがっちんだ。握った手が冷たくて冷や汗でベタベタ。ニカッと微笑して見せるが、彼女の目は笑っていない。眉間の皺がいつもより深く見える。 横たわったJのお腹に潤滑剤をぶにゅ~~っと絞って塗り付けられる。 うわぁ。冷たそ。 ワンドをお腹にあてる時点で初めて、初めて、「きゅっ」と緊張した。どきどきどきどき。 何が何だかあまりよく見えないのだが、機械のスウィッチを切り替えるとその小さな鼓動が聞こえる。 ばしゅん ばしゅん ばしゅん ばしゅん ばしゅん ばしゅん ばしゅん こんにちは! あぁ、こんにちは! 初めまして。 君は、元気...? 感動で思わず目がうるんでしまう。なぜ? Jの顔を見ると、真剣な、いつも通りレーザー光線が発光しそうな深い青い眼差しで食い入る様に、頭を思いっきりもたげて画面を凝視している。 あの時の赤ちゃんが、間もなく生まれるのだ。 君の事、生まれる前から知ってるよ。 安心して出ておいで。 待ってるから。 待ってるから。 - - - 君のお母さんほど逞しい人は、そういない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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