2007/03/15(木)15:41
「死ぬかと思った」・P君の話
昨夜、大江戸看板男様がリンクしていらっしゃる「あなたの『死ぬかと思った』経験を自慢してください」 サイトを 不覚にも? 早朝まで読みふけってしまったアタクシ。
ね、眠い...!
読みながら、どうしても友人P君の事が頭に浮かぶ。
物騒な近年、若者がヒッチハイクで北米横断とは随分珍しくなったが、まだこの冒険に出る大学生達がいる。
ある夏、P君もバックパック一つ担ぎ、ヒッチハイクしていた。
P君は得な性格だ。大学新聞会の全国会議で出会った同志なのだが、一緒にいるととにかく楽しい。
落ち着いた眼差しのP君は、頭の回転がはやく、頼りがいがあり、笑顔が凛々しい正義の味方である。 アタクシ好み
その晩、P君は死にそうになった。
深夜、三日間乗せてくれたトラックの運転手が道端に降ろしてくれた。
真っ暗だが、まわりはどうやら原っぱか空き地らしい。
行けども行けども何もなく、地平線まで真っ平らな中西部の農業地区だ。
コオロギの鳴き声が賑やかである。
ちょうど眠くなっていたので、担いでいたテントを立てて寝る事にした。
目の前にかざした自分の手が見えないほど真っ暗なので、作業は手探りだ。
「そこまではパーフェクトだったんだよなぁ~。」
で?で?
「and then i woke up.」
熟睡していたP君は、急に目が覚めた。
何?
何だろう?
マズイ...!
地震か...?
いや、地震なんてない所だ。
じゃあ、この震動は...?!?
機械的な音がする。
エンジン音?
列車だ!!
それも、近い!
マズイ!!!
P君、血の気が引く思いで飛び起きる。
この地域では線路沿いに道路がひいてある事が多い。
もしや、真っ暗な中、レールの間にワンマンテントを立ててしまったのか...?!
もう、列車はすぐそこまで来ている。
「もぅぅぅガクガクして、何が何だかわかんなくなっちゃってさ。」
それもそうだ。
テントのジッパーをみつけて、開けて、出る暇があるだろうか。
飛び出した所で余計マズイところに転がり出てしまうのではないだろうか。
テントの中のまま、床シートを這いずり回り、手探りでレールを探したそうだ。
地面がゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと震動しているのだが、自分も手足の関節がすべてガクガクしっぱなしなのでよく判らない。
これは石..?
これは... 棒...?
「目が覚めてから十秒たってなかったろうな、」とP君。
列車は...!?
すぐそこ!!!!!
テントが、傾く!??
接近する列車の風圧でテントが押され、傾いているのだ。
俺は、ここで、死ぬのか...!?
と目を瞑った時、
ズゴーーーーーーーーーーーーーッ
と、耳を劈く様な音とともに列車が通過していったそうだ。
一瞬の事だ。
だが今度は、風吸引力でテントが反対に吸い込まれる...!
やっぱり列車に巻き込まれて無惨な死に方をするのか...!?
そのままうずくまり、テントが吸い込まれない様に、なるべく身体を重くしようと心掛けるが、いつしか列車は無事通過していった。
ちびっちゃうかと 死ぬかと思った。
Pのバカバカバカバカバカ。
しばらくしてP君は自分が呼吸をしていない事に気付いたそうだ。
震えながらテントから這い出し、静かな夜空の下、そのままレールを手探りで探したところ、ほんの六十センチ、そう、腕をのばせば届く距離にそれはあった。
恐ろしい事に、まだ摩擦であたたかかったそうだ。
ひぇ~~~。
P君の不思議体験は他にも色々あるのだが、今彼は風力発電開発会社の常務取締役として元気に活躍している。