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カテゴリ:日常生活
もともと今日は、近所のスーパーに買い物にだけ行く予定だった。
ところが、いざ玄関に立つと、珍しく自分の内側から、静かに、しかしはっきりとした声でこう言うのが聞こえたのだ。 「やっぱり、高尾山に行きたかったな…」 え、そうなの?(汗) あらら、そしたらもうちょっと準備するものも違ったものにしなくっちゃ。 というわけで、三度目の高尾山へ、いざ出陣。 どうやらいつのまにか梅雨が明けたらしい(?)東京は、すっかり夏到来!の暑さである。 前回の「ふもとから登山」で懲りたのもあったし、今日は行きも帰りもケーブルカーを使おう、と思っていた。 なのに気づいたら、またふもとから出発しようとしている自分がいる。 繰り返すが、私は決して登山が好きなわけではない。 好きなのは木漏れ日の中をのんびり歩くウォーキングだ。 けれど、いざ現地に着くと、「心地よい汗をかきたい!」という体の叫びなのか、妙なことに、ケーブルカーを使っての中腹からの登山が「もったいない」と感じてしまうのである。 そんなわけで、今日選んだのは渓流に沿って歩くコース。 高尾山初登山の日に、下ってきたコースだ。 結果的に言うと、この選択は大正解だった。 前回選んだコースに比べ、確かに道は狭いし、後半は岩っぽいところも出てくる。 しかし、なんといっても静かで人が少なく、傾斜も比較的なだらかで地面が土で足なじみが良いのが素晴らしかった。 前回のコースの方が初心者向けっぽく書かれていたけれど、むしろ私は今日のこのコースの方が好きだ。 前は、とにかく傾斜がきついと感じるところが多く、また、コンクリートで舗装されていたところが多かった(ある意味、歩きやすいといっちゃ歩きやすいのかもしれないが)。 そして、その広い道は団体様にも適するのか、前後をワイワイキャイキャイ言いながら歩く方々もいて、静かに散歩を楽しみたい私としては、正直いささか煙たく感じたのも事実だ。 ところが、今回のこのコース、道はなだらかだし、静かだし(笑)、人は少なめで自分のペースで歩きやすいし(ハイ性格出てるとかつっ込まない、そこのあなた!)、木々の覆い方がちょうど良い木漏れ日を作り出し、途中まで脇には渓流も流れているし、とにかくいいことづくめだった。 もう高尾山にはふもとからは二度と登るまい、と思っていたが、このコースならまた体力のある時に登ってもいい。 しかも、時々すれ違う下山する方々も気持ちよく、「こんにちは」とあいさつをしあったり、「がんばってくださいね。ここからがきついところですから」と笑顔で声をかけてくださったりした。こういうとき、本当に嬉しくなる。 山に登る人に悪い人はいないね。 そんなこんなで中腹にたどり着き、ベンチに座ると、隣に絵を描いているおじさまがいた。 ひとしきり水分補給をしたり、深い息をついたりしながら休んだあと、どうしても気になったので「こんにちは。ちょっと絵を見せていただいてもいいですか?」と話しかけてしまった。 すると、その60代半ばくらいと思われるおじさまは、ちょっとびっくりしながらも少し照れた様子で「どうぞ」と言ってくださった。 その絵は、中腹の展望台(ベンチに座ると目の前一面に山々が連なっている風景が見られるのだ)から見た山々の景色を描いていて、色とりどりの緑が鮮やかに、良い雰囲気をかもし出していた。私はその絵に好感が持てた。 「よくここに描きに来られるんですか?」と聞くと、 「いや、絵を描きに来たのは初めてです。高尾山にはよく登りに来ますが」 とのことだった。 なんと、山スケッチデビューに立ち会ってしまったのね、私。 あとはなんとなくその場を離れ、山頂を目指す。 いつもはおにぎりを持参するのだが、今回はスーパーで見つけたおこわ3点セットに挑戦。 箸を使うお弁当って煩わしくないかな~と思ったが、頂上について食べてみたらなんともなかった。 そうやっておいしくお弁当を食べていると、向かいに親子4人連れが座り、子供は虫を捕まえたりして遊んでいる中、お父さんが「富士山の五合目の高さはね、ここよりも高いんだよ」と子供達に言って聞かせていた。 え~そうなんだ! 五合目で既に、高尾山の頂上を越えているとは…さすが、マウントフジ。 ちょっと意外だったのでわずかにそのお父さんの言葉に反応した私を見たのか、7歳くらいの娘さんの方が、あの人私たちの会話聞いているんじゃないかしら、とか何とか言っていたような気がする。そうだよ聞いてたよ、だって聞こえてくるんだも~ん。 頂上から見た空は真っ青に晴れていて気持ちよかったなー。 なのに、遠くの山々を見渡すとなると、なぜか霧がかったようにぼんやりとしているので、写真は取らずに退散した。 下山途中、中腹のケーブルカーまであとわずか…と言う時に、そろそろ疲れも出てきてぼんやりと端を歩いていた私は、なんとすぐ2メートル先にヘビを発見! おもわずぎくりと体を反応させて私が立ち止まった次の瞬間、向こうも明らかに私の出現にびくり、とからだを震わせ、一瞬動きが止まったかと思うと、すぐに回れ右をして山の茂みの方にサーっと逃げていった。 ……いやいやいや、そんなに真っ先に逃げなくても。 そりゃ私の方が図体はでかいけどさ。 そのヘビさん、目撃者は私だけのようで、他に一組私の横をすれ違ったのだけれど、話に夢中でヘビさんには気づいていないようだった。 推定直径約2センチくらいの、土のような砂利のような模様(だから一瞬気づかなかった)で、あの様子だと毒ヘビとかではなさそうだった。 ヘビに逃げられてから(!)ちょっとしてはっと我に返った私は、 「そういえば、ヘビも山の神様だというし、そう言う意味では会えてラッキーだったのかな」なんて思いなおして、ちょっと嬉しかったりもした。 そしていよいよ中腹までくると、今日はケーブルカーではなくリフトで下山しよう、とリフト乗り場に向かう。 というのも、登山の最中、誰かが「ケーブルカーは閉鎖的だったよねー」と話していたのを耳にしたからだ。 高尾山には、ふもとから中腹までの交通手段として、ケーブルカーとリフトがあり、どちらも片道470円(確か)と同額である。 で、私はどういうわけか今までケーブルカーにしか乗ったことがなかった。 リフトがあるのは知っていたが、そちらに乗ろうという頭がはじめからなかったのだ(不思議)。 でも今回、そういう声も聞こえてきたので、よし、じゃあいっちょ今日はリフトに乗って帰るか、と思い立ち、半券を買う。 二人乗りのリフトにひとり悠々と乗り、いざ出発! うひゃ~~~、すーーーばらしい景色!!! 目の前に広がる山々と木々、そしてかなたには小さく東京の街も見える。 空の青さや太陽の光、鳥の鳴き声をじかに感じられる。 周りは静かで、自分で歩かずとも森林浴ができるという、最高の贅沢。 雨ならともかく、晴れた日は断然リフトだ、と思った。 約12分の、ゆるやかな森の旅。 リフトにすべり落ち防止の棒(たいていお腹のあたりで止まるやつ)がなく、結構宙ぶらりん状態だったのが最初ちょっと怖かったけれど、下を見るとちゃんと網が張られてあったし、万が一のことがあっても大丈夫なのだろう。 そういえば、リフト乗り場の前に、「泥酔された方等はご遠慮いただく場合があります」と描かれていたが、今になってその理由がよく分かる。 今度からは、行きも帰りもリフトだな。 下山し、駅へ向かう途中、気になっていた豆腐屋さんでついに寄席豆腐を一丁、買った。 おつりをもらう時に、ペコちゃんのミルキーがひとつ、おまけでついてきて、それがまた私をほっこり笑顔にさせる(おばちゃん、ありがとね)。 今日も、下山後に背中からタオルを抜き取った瞬間は爽快だった。 これからが夏本番といったところだけれど、ここはきっと、紅葉もすごくきれいなのだろうな、と、今から秋が楽しみだ。 高尾山とは、思った以上に長い付き合いになるかもしれないな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.07.05 22:14:57
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