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Welcome to tamutamu's HOME

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その⑬ ~退院 PartⅢ~

食事を終えて、上司に挨拶をし、両親と私の3人で病室に戻りました。

病室で4ヶ月間一緒に闘ってきた皆に挨拶をし、手紙を渡しました。
「おめでとう。頑張ったね。私ももうすぐ退院だから、後ちょっと我慢するね。」
皆が笑顔でそういってくれたことが、何より嬉しかった。
本当に、一人じゃ乗り切れなかったなー。そう思いながら、一人一人に
「ありがとう!」といってまわりました。病気に対して立ち向かっている同室の
患者さん達がいたからこそ、私は途中で治療を投げ出さずに何とか退院できたのだ
と思って、最後は笑顔でお別れができました。

ナースステーションに回ると、ちょうどお昼時だったので、ほとんど職員の方は
休憩に出ていました。事務のお姉さんにドクター達への手紙を渡すと、
「ラブレター?えっ?こんなに?!」とのこと。

ちょうど私が入院した5月は、新人のドクターたちが配属された時期で、
年の近かった彼ら、彼女らには体の面だけでなく、精神的な面でも
とても助けてもらっていました。
患者とドクターというよりも、まるで友達のように悩みを聞いてもらったり、
忙しい中私の暇つぶし(!)に付き合ってもらったり。
担当が替わっても、もしくは最初から私の担当じゃなかったにも関わらず、
ずっと気にかけてもらって病室の前を通るたびに声をかけてくれた皆。
最初は手が震えて採血すらままならなかったのに、4ヶ月間の間で、
なんだか立派な「お医者さん」になっていく姿に、私もずいぶんと
励まされました。

「旅行にいってきたんだー。」話の中でそんな話題が出て、「で、お土産は?」と
冗談で言ったら、「はい。これ。」と、本当にお土産をもらって
びっくりしたこと。
夜中に彼と電話をしていてひやかされたこと。
「初めての手術は大変だった…」とぐったりした顔で報告してくれたこと。
「医者としてではなく、友人として、頑張って欲しい」という手紙をもらって
感動したこと。いろいろなことがありました。

休日平日に関わらず、常に働いている彼ら、彼女らには「無理すると私みたいに
なっちゃうからね!」と言いつつも、本当にいろいろと手を差し伸べてもらって
いました。
主治医とは違い、退院してしまえば会うこともほとんどなくなってしまうのは
少し寂しい気もしたけれど、私が出来る唯一の恩返しは、この病棟から早く
退院して行くことだと思って、私と両親は病院を後にしました。

「ここの病院でよかった。あのドクター達でよかった。」

入院中、何度となく感じていたことを、帰りの車の中で、改めて感じました。
病院の良し悪しや、医師との相性は、患者の側からすると本当に大切な
事だと思います。幸運なことに私は自分の体を預ける病院や医師、
看護士さん達に、とても恵まれていました。

入院当初は早く病院から逃げ出したくて、病棟内の職員全員に厳戒態勢が
ひかれ、病室を出た瞬間に「どこいくの?」と聞かれていた私。ドクター達は
いつ治療をやめると言い出すかヒヤヒヤしていたそうです。

いろんな人と出会い、苦しい思いもたくさんして、でもいい思い出も出来た、
そんな入院生活でした。

白血球3500、ヘモグロビン8.5
これが、私が退院を許可された時の血液のデータでした。

こうして、私は110日間の入院生活を終えました。





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