2007/01/05(金)20:50
健康の底上げ
昨今様々な分野で「二極化」傾向が進んでいるといわれますけれども、健康観の二極化もかなり進行していると思います。「健康観の二極化」といっても、いろんな捉え方があると思うのですが、例えば「食」について考えてみても、「美味しければ何でもいいや」もしくは「腹を満たせれば良し」という人から「体にいいものを」さらには「地球上のいのちの循環に視点を置いて、自然の恵みに感謝していただこう!」という人まで様々です。
私のブログを読んでくださるような方々は、医食農に興味を持って見てくださるわけですから、ほとんどが後者のような方々でしょうね。世の中の人たちが皆さんそうであれば、国の医療費は激減すること間違いなしだと思うのですが…。
最近私が勉強している行動療法では、人が何かを学び、行動を起こしてそれが生き方として定着するまでには、大きく分けて以下の5段階(逸脱を含めて6段階)のプロセスに分かれていると言われています。
(1)前熟考期(無関心期)… 必要性を全く感じない状態。「美味しければ何でもいいや」という人はこの段階
(2)熟考期 … 必要性は感じるが、行動を変えたことで生じる利益よりも不利益の方が勝っていて行動に移せない状態。「甘いものばっかり食べてよくないとは思うが、がまんするのはきついし、だっておいしいんだもーん。」という人はこの段階
(3)準備期 … 必要性を感じて実行に移したいと思っているが、情報が不足して方法が分からない状態、もしくは間違った方法をとってしまっている状態。「甘いものやめたけど、ほかの果物やスナック菓子が増えてしまった」などという人はこの段階
(4)行動期 … 必要性を感じ、かつ適切な情報を入手して自分なりに行動に移せている状態。甘いもの中毒から脱却し、しばらく維持できている人はこの段階
逸脱 … 行動期に移っているが、また元の状態に戻ってしまう。
(5)維持期 … 行動が生き方として定着した状態
結局何を言いたいかといいますと、マクロビオティックや断食、自然食などに興味を持つ人たちのほとんどは、この変化ステージの段階で言うところの(3)以降の人たちだということなんですね。ところが、今話題になっている「メタボリックシンドローム(内臓肥満症候群)」や糖尿病予備軍、および糖尿病が重症化して糖尿病性腎症から人工透析になっていく人たちの大半は(1)とか(2)の人たちで、この方々が変わらない限り、国民全体の健康の底上げはできないと思うわけです。
「食育」という言葉も世の中に定着した感もありますが、なんとなく、こう「うわべだけ」の平べったい感じがするのは、食育のイベントや料理教室があっても、ほとんどが変化ステージ(3)以降の親子が参加していて、一番問題のある(1)(2)の人たちがかかわらないことにあるのではないかと思います。もちろん(3)以降の人たちはできているんだから意味がないというわけではないんですよね。「底上げ」という意味では難しいと思うのです。
今年は、職場のスタッフと共に、内臓肥満、糖尿病の人たちの中で、特に迷いのある(2)の段階の人たちと関わって、(3)以降へと進んでいけるような健康プログラムを立ち上げることを目標に仕事をしたいと思っています。「食育」についても、「肥満」のあるハイリスクの子供たちに焦点をあてて夏休みを利用した健康教室をやって、冬休みに評価とか…あっ、とはいっても、ブログではもちろん、(3)以降の情報を集めたり、行動、実行に移したことをUPしていきたいと思っていますよ。ちなみに明日からは農園のK夫妻や、職場の気のあう仲間と連れ立って、宮崎県の綾町に薬膳料理の研修旅行に行ってきま~す。どんな出会いがあるのか楽しみです♪