千の風
くもり。今日も暖かい。奥田英朗「サウス・バウンド」を読み終える。500ページ以上ある分厚い本だが、その真ん中あたりから最後まで一気に読み切った。やめられない、とまらない。主人公の父親が元過激派という設定がおもしろいだけでなく、子供の視点から眺めた大人社会や、子供たち同士の人間関係が生き生きと描かれている。彼らに共感しながら自分の少年時代を思い出した。個人的には主人公の友達、向井君のキャラが気に入っている。二部では舞台が西表島に移る。昨年の秋、沖縄を旅行したばかりなので、島の情景がリアルに目に浮かび、懐かしくなった。こういう島で暮らしてみたい。物語はちょっぴりせつないハッピーエンドで終わる。本の装丁も素敵だ。昨年の秋にパキスタンで亡くなった友人のご両親から本が送られてきた。「千の風になって」というCDブックで、作者不明の英語詩を著者が翻訳し、それに曲をつけたものだ。原詩が素敵なので、ここに紹介する。声に出して読むと、その旋律の美しさがよくわかる。a thousand winds Author UnknownDo not stand at my grave and weep;I am not there, I do not sleep.I am a thousand winds that blow.I am the diamond glints on snow.I am the sunlight on ripened grain.I am the gentle autumn's rain.When you awaken in the morning's hush,I am the swift uplifting rushOf quiet birds in circled flight.I am the soft stars that shine at night.Do not stand at my grave and cry;I am not there, I did not die.午後から温泉館へ出かける。風呂の日にもらった入浴無料券で入る。いつものごとくがら空き。やっぱり広い風呂は気持ちがいい。スーパーに寄ってぶりを買う。この辺は山地なので魚はあまり安くない。特に養殖ではなく天然ものは。夕食にぶり大根を作る。魚料理は久しぶりだ。ぶりはぶりっとしていてうまかった。これで大根もすべて使い切った。ぶりというと、ミクロネシアにいたときの職場の同僚を思い出す。愛称が「ブリ」で、彼女は俺のホストマザーでもあった。酒とタバコが大好きな、体の大きい、太った(向こうでは標準サイズ)おばさんで、だみ声で豪快に笑う。いろいろとお世話になったが、セクハラ(体に触ってきたり、下の話ばかりふってきたり)には参った。けっこう俺も楽しんでいたけど。