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みなさん、ありがとう。
私は思ったより元気です。 ってか本人びっくりするくらい普通です。 私を産んだ人が死んでいたことを知るまでの間は例えるなら、ゴキブリとにらめっこしてるような感じでした。 あ、表現間違ってる? ただ何もしてないときにいきなり目の前にゴキブリが現れると一瞬止まるでしょ?何もしてないからもちろん手には何も持っていないわけ。 ゴキブリって絶対に動物と同じ視覚があると思うんだよね。なぜか向こうも止まるでしょ? そうするとなんか負けちゃいけないような気がして目をそらすことができなくなるじゃない。当然向こうもこっちをガン見してるのさ。 そんなにらみ合いの最中に頭の中ではこのゴキブリをどうしてくれようって一生懸命考えるよね。左斜め前方に新聞があるから、そ~っととって丸めて一撃を与えるかとか、殺虫剤はどこに置いたっけ?とか、こいつここで逃したら夜中にまたこっそり這い出してきて俺の顔の上でぱーちーなんぞを開くかも知れんとか、こっそり靴の中に入っててそれ知らずに履いちゃって職場で靴履き替える時に変わり果てたお姿でこんにちはしてきたらやだな~とか、ってかなんで今ここにゴキブリ?とか。ここまで大体28秒くらい? そして向こうがぴくっとかフェイントかけてきたりして、ドキドキしながらも負けねぇぜってなもんで変な汗かきながら、あいつ羽あんだよな~、羽。ぴゃ~って飛んできたらマジでしゃれにならんから!とか考えつつとりあえず一番手近な新聞ににじり寄って行くわけだ。もちろんまだゴキブリと遭遇してから1分もたってはいない。 さあここでゴキブリ側に立ってみよう。 とりあえず餌っつーか食い物探してみるかな~なんて家出てきたけどここ何もなくね?ってかここどこ?とりあえずさまよってみる?なんて感じだと思う。とにかくかさこそかさこそ散歩としゃれ込んでたらなんか、いた。でっけーのいた。すっげ~見られてる、ってか見つかっちゃった?てへっ。悪いことしないの~歩いてただけなの~ほんとに隅っこ歩いてたつもりだったんだけど、まよっちゃってさ~。いや、わかってるんだよ。自分がどっちかって言うと日陰の身的なポジションだってことは。だって今までちゃんとこっそりいたじゃん?今まで見つからないでちゃんとこうやって立派に大きくなったじゃん?ほら(ここでぴくっと動いてみせる)。実はもう子供までいるんだよね~。まだ小さいんだけどさ~。!!!ってあぶねぇな~! 俺は新聞を掴み飛び掛ってみるが、相手はものっそ足が速くてぴやっと逃げるのさ。びくびくしながら逃げた周辺を探すんだけどなかなか見つからなかったのさ。 わからないって? 私を産んだ人がそのとき母親と呼んでいた人と違うのは知っていた。何かあるたんびにお前の母親はどうしようもなくいいかげんでしょうがなかったって言葉とともにお前はあいつにそっくりだってね。 知っていたけど探さなかったし、探そうとも思わなかった。だってパパりん怒るし。その時々の母親いたし。 で、パパりんと切れてなんとなく時間が過ぎていくうちに突然探してみよう!って思いついた。だって俺否定され続けて生きてきたから自分がいったい何なのかわからなくなって。酒止めてもっかいやり直すついでに探してみようと思ったの。 ここがゴキブリと遭遇した場面ね。 ゴキブリ側の視点はその産んだ人のことが俺の心の中でどんな感じに存在したかを例えてみました。こっそり隠れていたけど、そこには確かにいたんだよ。 で、みじみじと新聞に近づいて掴んで飛び掛ったってのは調査を開始したってことだな。戸籍を調べるっていう簡単なことだったんだけど、パパりん一回戸籍をきれいにしちゃってるのよね。本籍を移動させちゃったって事。だからそれまでの結婚歴もでないし、引越し歴も出なくなるのさ。これをやっても除籍された戸籍として何十年かは保管されているから調べるのは簡単なんだけど。その除籍されたものを取り寄せてみたらそこには産んだ人の部分だけがすっぽり抜けていた。びっくりして役所の人に聞いたら本籍を移してしまったからそこだけ空白なんだっつーことで、他県にうつった産んだ人の戸籍を取り寄せた、ら、もう死んでました。 だからゴキブリは見つからないまま。 ただ、種違いの弟がいましたとさ。 死んでいたことを知った時、見つけたらあぁしてこうしてってのもあったにはあったけど、正直もう少し時間がかかるものだと思っていた。 これがまたパパりんが「男と暮らしているらしいけどそれでも生活保護を受けたいってんでお前宛に役所から助けてやれないかって手紙が来てたけど俺が役所に電話して怒鳴っておいてやったから。」と鼻の穴を膨らまして得意げに言っていたりしたものだからね。ってか成人した娘に来た郵便物を例え旧姓で来たからといって勝手に開けてはいけないよ、パパりん。そして何にも関係ない役所の人を怒鳴ってもいけません。 その手紙は俺には渡らないままどこかへやられてしまった。 その時その手紙が俺にちゃんと渡っていたら俺はどうしたかな。 やっぱり探し始めるのは今になっていたかな。 産んだ人をゴキブリに例えるってどうよ?って感じだけど、産んだ人のことはそれくらいひっそりといるわりには存在感があった。 隠れてるけど絶対にいるんだって。 そしてぴやっと逃げてしまった。 顔も声もぬくもりも知らない人のことなんてそんなもん。 順調に悲しめなくて、順調に涙も出なくて。 もう少し時間がかかっていたら死んでいることも想定していただろう。 それでも少しだけ泣いた。 産んだ人に対する涙ではなくて、自分探しに出かけて迷子になった不安から。 生きて話を聞けるのは自分を否定する人だけ。 そこには戻りたくはないのだよ。 でもちゃんと道はあったよ。 それはまた次回に。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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