『カッコウはコンピュータに卵を産む』 C. クリフォード著
ムスコは、私とは本の趣味が合わないようで。私が面白いと思って薦めた本をすぐ読んだ試しがありません。いいよもう、本の趣味はムスメの方が合うみたいだから・・・いいさっ。と、多少イジケ気味になっていたこのごろですが。本棚の整理をしていたら、すみの方からこんな本が出てきました。カッコウはコンピュータに卵を産む(上) (下)ええ~・・・鳥の本ではなくて。原作の初版が1989年(日本語版は1991年)。まだインターネットというコトバが知られていなかった、インターネット黎明期のハッカー追跡のドキュメントで、電子世界のスパイ小説(実話)です。著者のクリフォード・ストールは、本職は天文学者なのですが、この事件をきっかけにコンピュータ・セキュリティの専門家にもなってしまったという人。オットが学生時代(オットの学生時代は長かった・・・)に買った本です。私も当時からタイトルは知っていたので、当時はそれなりに有名な本だったと思います。時代は、まだインターネットが各家庭にまで入り込む以前、ネットワークには軍事施設や研究所・大学などしかつながっていなかったいなかった頃。私の記憶が正しければ、インターネットが爆発的に普及したきっかけをつくったのが、1993年に米副大統領に就任したアル・ゴア氏の情報スーパーハイウェイ構想だったと思うので、この本はそれ以前の、まだ「ネットワークのセキュリティって何のこと?」な時代に書かれた本で、ハッカーの存在を世に知らしめて、世間がネットセキュリティの必要性を認識するきっかけとなりました。この本、ずっと本棚にあるのは知っていたので、私も何度か読了に挑戦したのですが、どうも、コンピュータ自体に関心が薄いせいか、いつもとばし読みしては途中で挫折、を繰り返したため、中身はだいたい知っているけど全部読んだことはない、という、ミステリー小説を読むには実に宙ぶらりんな状態になり、いまだに読み通せていません。さて。ある日ムスコが、「読書しなくちゃいけないんだけど、最近、読みたい本がないんだよねー・・・」とつぶやくのを耳にしました。なので、まさかこれは読めないだろうな・・・と思いつつ、パソコンをし始めると夢中になって宿題を忘れるくらい、コンピュータ好きなムスコのこと。ひょっとしたら、この本に興味を示すかも?と思って、これどう?と、あらすじを説明しつつお勧めしてみました。最初は、約300ページのハードカバー本上下2冊の分量の多さに圧倒されて、「ムリ」とかいっていたのですが、あらすじを解説してやったら、ちょっとだけ興味を示し、上巻だけ部屋に持っていきました。オットにこの話をしたら「たぬきちにはまだムリだろ~」と一蹴。そうだよね~。さて、それから1週間ほど後。もちろん読んでないよねー、な調子でムスコに「『カッコウ・・・』どうした~?」と聞いてみると、「うん、あと6ページで上巻が読み終わる」・・・ウソ?「結構、おもしろかったよ。」ウソウソ???「下巻も出しといて」???ホント???そして現在、順調に下巻を読み進めているようです。読書、苦手・・・じゃなかったっけ?こういうのは、いいのね・・・わかってるかどうかは別として。やっぱりムスコは、私とは頭の構造が根本的にちがうようです。とりあえず、私がお薦めした本をムスコが読んだ、という点は、評価。誰にでもお勧めできる本ではないのですが、コンピュータ好きな中高生なら楽しめるかもしれません。