育成者の責任
バドミントンの違法カジノ問題で、田児・桃田両選手の処分が決まりました。バドミントン協会 桃田の五輪見送り決定 無期限出場停止 日本バドミントン協会は10日、東京都内で緊急理事会を開き、違法カジノ店で賭博をしたことを認めた桃田賢斗(21)=NTT東日本=に対して無期限の競技会出場停止処分、賭博に誘った田児賢一(26)=同=には無期限の登録抹消処分を科すことを決めた。桃田は8月のリオデジャネイロ五輪にも派遣しない。毎日新聞2016年4月10日一部、処分が厳しすぎるのではないかという声も聞かれますが、私は妥当だと思いました。今後のバドミントン界のことを考えたら、違法行為に対する協会の態度をしっかり示しておかないと、これからの選手たちに示しがつきません。ただ一点、とても気になることがあります。こんな選手を育てたのは誰?田児選手の賭博の常習性は常軌を逸していますし、桃田選手の記者会見での発言や、折々のインタビューでの発言は、あまりにも幼稚すぎて、バカをさらけ出しています。二人とも立派な成人ですし、大人のしたことの責任の一端を保護者や育成者に求めるのは通常はおかしな話です。しかし。この二人は、バドミントンという”ゆりかご”の中でずっと育てられてきた人たちです。特に田児選手は、両親がバドミントンの名選手、物心ついたころにはラケットを握っていたという、まさにバドミントンの申し子です。バドミントンに育てられてきた子どもたちです。バドミントン協会をはじめとする選手の育成者たちが、日本のバドミントン史上初めて誕生した世界レベルの選手に対して、「強ければそれでいい」と、全人教育を怠ってきたのではないか?そう思えてなりません。現在、どのスポーツでも、世界で戦うには「強い」だけではいけないということに気づいて、基礎学力や人生設計、人としてのふるまいや世界で戦う心構えなど、若いころからきちんと身につけさせるべく、指導者が意識付けに努め、選手本人も自覚して努力するというのが、時代の流れになっています。だから、現在、若くして世界で活躍している選手たちは皆、インタビューでもしっかりした受け答えができています。桃田選手と同世代で世界で活躍している選手もたくさんいます。中でも、フィギュアスケート羽生弓弦選手は、同い年で同じ東日本大震災被災者。比較するのは本当に申し訳ないけれど、比較すると、桃田選手の発言や考え方の幼稚さが際立ってしまいます。桃田選手はまだ子供だから、と擁護する声もあるけれど、それは同い年の他競技のアスリートに失礼というものです。バドミントン界は、育成陣の意識が完全に時代遅れだったのではないか?罪を犯した本人たちが処罰を受けるのはやむをえないですが、それと同時に、そんな選手を育ててしまった大人たちこそ、自分たちの責任と正面から向き合い、猛省して、一緒に罪を背負わなければいけないでしょう。育成陣には往年の名選手たちの名前が連なっています。私がバドミントンに熱中していた中高生時代のスター選手です。そんな人たちが、選手の育成に失敗したということを、バドミントンの一ファンとして、とてもとても悲しく残念に思います。