なつみのTapdance~目指せ美人道~

2006/11/17(金)09:18

天竜峡で贅沢三昧

バスガイド裏話と旅行記(37)

ご無沙汰してます。 月初めから2週間ほど、名古屋の実家へ 恒例の里帰りに行っておりました。 長いこと更新してなかったので あれやこれやと書く事はあるんですけど とりあえず、あまり時期がずれ込まないうちに、季節に沿った話から。 ************ 名古屋滞在中、母と娘と3人で、 信州は長野県の景勝地、天竜峡温泉へ 日帰り旅行に行って来た。 あたし、2ヶ月温泉に入っていないと禁断症状が出る。 書きそびれてしまったけれど、四月の里帰りでは蒲郡温泉へ 7月は、白樺湖温泉と白浜温泉へ泊まりで出かけていたりする。 今回行ったのは、一泊だいたい3万円くらいする 大人の隠れ宿天竜峡温泉 「峡泉」 よって、泊まりは経済的にもキツイ為、今回は日帰り^_^; 天気は、あいにくの雨。 ここのとこ毎日晴れてたってのに、 あたしの日頃の行いがうかがい知れる(-_-;) ココは、本格的な京懐石がウリ。 以前勤めていた旅行会社社長の太鼓判という事もあって 期待に胸を膨らませつつ、中央道飯田ICを降りる。 道中、漬物ドライブイン伊那路や 数え切れないほど行った水引工芸館には目もくれず、 旅館を目指す。 思ったよりも早く、15分ほどで車は天竜峡温泉街へついた。 「峡泉」ほどの宿なら、さぞでっかい看板があって 簡単にわかるだろうとタカをくくっていたら、 あっと言う間に温泉街を抜けてしまった。 やっぱり迷子になってしまったので、 地元のおじさんに尋ねてみると、ローカルな天竜峡駅の すぐ裏にある「こんな細い道入れるの?」的な 路地を入るよう促された。 入ってみると、道幅が急に広くなり宿が姿を現した。 建物自体は、ぱっと見「金持ちの人んち」 それもそのはず、部屋数わずか10室のみ。 玄関も、昔ながらの旅館と言う感じで、靴を脱いで上がる。 出迎えた男性は、ホテルマンではなく番頭さん。 古い建物だけど、充分に手入れされている。 ロビーラウンジから眺められる中庭は芸術的に美しく、 池には高そうな鯉も泳いでいた。 天竜峡は山深い土地柄、他の旅館では鯉が食卓に上がるけれど ここの鯉は食われる心配がなさそうだ。 優雅に泳いでいる。食ったろか。 中はまるで迷路のような細い廊下で 部屋と部屋とが繋がっている。 愛人連れのお忍びの宿としても利用されるせいか なるべく客同士がすれ違わない造りになっているらしい。 所々、季節の生花が生けられている心遣いも嬉しい。 わざとらしく香の匂いが立ちこめる宿よりも ずっと粋で、あたしは好きだ。 あたし達が案内された部屋は、一番奥の「桔梗」の間。 部屋には番号でなく、花の名前がつけられているのも 趣があってよろしい。 部屋の入り口には、石畳があり、引き戸は重めの檜?格子。 中でイチャコラしてる時に仲居が入ってきたとしても、 時間が稼げそう。 10畳ほどの高級感のある部屋、 窓からは、天竜峡の記念撮影スポットにもなる絶景がバッチリ。 時折、下を除くと天竜下りの船が見える。 紅葉も、そこそこキレイ。 荷物を降ろすと、雨で冷えた体を温めるため、すぐに温泉へ向かった。 ここ、今時珍しいけど内風呂オンリー。 脱衣所も洗い場も古びているし、 4人くらいが限界って感じの狭さだけど、お湯の質は天下一品。 同長野県の昼神温泉や下呂のようなアルカリ系のヌルっとした 泉質なんだけど、 とにかく濃いっっっ うっかりすっ転びそうな、 「温泉入ってるーーーーう」を満喫できるお湯質。 お風呂上りの備品も、けっこう適当なんだけど メイク落とし、洗顔、化粧水、乳液、角質取りジェル、 麺棒、コットンと、必要なものは揃ってる。 お風呂上りの竹炭水もよく冷えていて甘かった。 部屋に戻ると、食事の用意がされ始めていた。 懐石なので、先付けから一品づつ運ばれてくる形。 温かいものは温かく、冷たいものは冷たく。 とりあえず前菜。 見た目も味も完璧。 旅館の料理の先付けって、たいして美味しいものなんてないのが セオリーだけど、ここのは何もかもが美味しい。 母は、飾りの稲穂まで食おうとしていた。 そして、刺身。 海のない長野県で、これだけの刺身を出す旅館を、 あたしは他に知らない。 特にこの天竜峡は、刺身と言えば鯉の洗いだったり、 出さない方がいいような刺身を出すところがほとんど。 鮪のトロは特に絶品で、舌の上でとろけた。 鍋は、鴨だった。 鶏嫌いの母が、スープまで飲み干した。 上品な味付け。 ココからは、食べるのに夢中で写真撮り忘れちゃったんだけど(笑) 酢の物にしても、鯖に菊の花が包んであったり、 天ぷら一つにしても、湯葉でカニを包んで揚げてあったりと 一つ一つ、旬の素材に手をかけた、 職人の腕が光る料理ばかりだった。 料理の運ばれてくるタイミングもちょうどいい。 一番驚いたのは、 最後に出てきた揚げとシメジとサトイモの炊き込みご飯。 あたし、サトイモ嫌いなのね、すっごく。 でも、ここのサトイモは、何個も食べたいと思うほど 本当に美味しかった。 甘くて、嫌味がなくて。 だしで炊いただけですよ、なんて仲居さんは言っていたけど 料理人の腕一つで、食材の味ってこんなにも変わるんだって すごく感動した。 デザートまで、全て計算されつくした、手の込んだ料理に感服。 胃袋破れるくらい食べてきた。 食後には、再び温泉に浸かり、程よい満腹感と共に宿を後にした。 物腰の柔らかい上品な仲居も、 「呼ばれなければ部屋には行きませんので」と宣言する。 決して冷たいわけでもなく、怠けているわけでもない。 言わば放っておいてくれる宿 部屋のお風呂にも温泉がひいてあるので混浴したい人はご自由に。 アジアの高級リゾートじゃないけど、 晴れた日にわざわざ部屋に篭って恋人とHするような贅沢を 味わえるような場所。 一部屋ずつに客室係が付く日本NO1旅館「加賀屋」のような宿とは 本質的なものが違う。 加賀屋は加賀屋で素晴らしいけれど、 温泉旅館ってそもそも 「いいお湯に浸かって、美味しい料理を食べる場所」だったはず。 近年の温泉旅館には、露天風呂はなくてはならない必須条件に なってしまっているし、 ブームに乗って、貸切風呂や部屋付き露天風呂なんてものも どんどん増えている。 それも顧客のニーズ、時代の流れという人もいるけれど 設備にお金をかけなければ、顧客の満足を得られなくなった という裏返しのような気がする。 料金のわりにアメニティの種類は必要最低限だし 施設には派手さもないと初めは思ったけれど 料理を食べ終えて、ココはごまかす必要がない宿だと実感した。 料理一本で勝負する、日本で数少ない名旅館の一つかもしれない。 ******** 以上、元旅行業者の小姑のようなねちっこい視点で 宿をチェックして参りましたが 長々と読んでくださった方、ありがとうございます。 元業者、200以上の温泉宿を泊まり歩いているあたしですが、 若干30にも満たない小娘の視点です。 付け加えさせていただくと、 先日、関西の名旅館西村屋本館に泊まってきた母も 「もう一度行きたい宿」と言っていたので、 自信を持って勧めさせてもらえるかと思います。 ちなみに、この日の料金は1人8000円。 高い、と思う人もいるかもしれないけれど、 居酒屋で飲んで、カラオケ行っても大体このくらいのお金は かかるので たまには、こういう時間の過ごし方も悪くないのではないかと あたしは思います。

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