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『4ヶ月、3週と2日』を観ました
共産政権末期のルーマニアを舞台に、ルームメートの違法中絶を手助けする 女子大生の1日を描き、2007年カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した 人間ドラマです >>『4ヶ月、3週と2日』関連 原題: 4 LUNI, 3 SAPTAMANI SI 2 ZILE 4 MONTHS, 3 WEEKS AND 2 DAYS 4 MOIS, 3 SEMAINES, 2 JOURS ジャンル: ドラマ/サスペンス 製作年・製作国: 2006年・ルーマニア 上映時間: 113分 監督・製作・脚本: クリスティアン・ムンジウ 出演: アナマリア・マリンカ ローラ・ヴァシリウ 【ストーリー】 1987年。 官僚主義がはびこり、人々の自由が極端に制限されていたチャウシェスク独裁政権末期のルーマニア。 大学生のオティリアは、望まない妊娠をした寮のルームメイト、ガビツァから、違法中絶の手助けを頼まれる。 手術当日、オティリアは恋人からお金を借りると、ガビツァが手配したはずのホテルへ向かうが、 そんな予約はないと門前払いされてしまう。 やむを得ず別のホテルを探すオティリア。 さらに、体調のすぐれないというガビツァに代わり、約束の男ベベも彼女が迎えに行くことに。 無愛想なベベは、やって来た女も違えば、ホテルの場所も変更になり警戒心を募らせる。 やがて、2人が用意した金が足りないと知ると、怒りも露わにその場を立ち去ろうとするのだったが…。 ここから先はネタバレを含みます。ご注意を これは 二人だけ の秘密──。 あらすじさえ読まず、なんとなく観はじめた作品で、 ルーマニア=ヴァンパイアというチープな思考によって 勝手にヴァンパイアやゾンビや魑魅魍魎の皆様方が出てくるのでは と思ってしまったバカな自分が恥ずかしくなるほど、壮絶な作品でありました。 官僚主義がはびこり、人々の自由が極端に制限されていた 独裁政権下のルーマニアにおいて、 望まない妊娠をしてしまったルームメイト ガビツァを 助けるべく奔走する女子大生オティリアがヒロインであります。 とにかく冒頭からオティリアは、ガビツァのために献身的であります。 彼女の好みのタバコを探し、恋人からもお金を借りて、 手配されていなかったホテルの予約をなんとかし、もぐりの医者を迎えに行き、 そんなことまでですかと言いたくなるような事までして、 さらには、生々しい後処理まで。。。 その間に恋人の母親の誕生会にも参加し、 若い女性は人前でタバコを吸うなから始まり、 料理があーだこうだ、お父さんは何をしているのかなど、 官僚主義的思考で凝り固まった人々に囲まれもみくちゃにされ、 頼りにならない恋人とも喧嘩をしてしまうわけであります。 心配でたまらないオティリアに対して、 当のガビツァは電話に出なかったりの傲慢な態度を見せたり。 彼女の思いはどこまでも報われず、 言葉にならないほど心身ともにクタクタになりそうな長い一日。 そんな彼女の逞しい行動を、音楽を使わずリアルな音を通して、 寒々しい雰囲気のルーマニアの街並みと共に 淡々と描かれていくストーリー展開が新鮮で目が放せませんでした。 しかし、始終胃がもたれているようなモヤモヤした感覚が残るのも事実あります。 今後語られることも無い2人の秘密は、最後まで何の理由も明かされず、 街の暗闇の中にゾンビが現れる事も無く、 静かに淡々と進み、そして突如終わってしまうのであります。 重苦しく、100%理解できたとは言い難い作品でありますが、 政治に抑圧され続けてきた人々の思い、固い絆、 自らの力で生き抜く逞しさについて考えさせられる作品であり、 非常に印象に残る映画でありました。
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