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カテゴリ:映画 ア行
『アフター・ウェディング』を観ました
デンマークの女性監督、スサンネ・ビア監督が、家族の大切さをリアリティあふれるタッチで描いて 2007年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたラブストーリーです >>『アフター・ウェディング』関連 原題: EFTER BRYLLUPPET AFTER THE WEDDING ジャンル: ドラマ 製作: 2006年・デンマーク/スウェーデン 上映時間: 119分 監督・原案: スサンネ・ビア 出演: マッツ・ミケルセン ロルフ・ラッセゴード シセ・バベット・クヌッセン 【ストーリー】 インドで孤児たちの救援事業に従事するデンマーク人、ヤコブ。 運営している学校の財政難に頭を悩ますヤコブのもとに、デンマークの実業家ヨルゲンから 巨額の資金援助の申し出が舞い込む。 そして面会したいというヨルゲンの求めに応じて、久々に故郷デンマークへと戻ったヤコブ。 面談を無事終えたヤコブは、ヨルゲンから週末に行われる娘アナの結婚式に強引に招待され、 断り切れずに出席することに。 ところが、そこに待っていたのは思いがけない人との再会、そしてさらなる衝撃的な事実だった。 あまりのことに激しく動揺するヤコブだったが…。 ここから先はネタバレを含みます。ご注意を 愛は、死なない。 命の終わる日を知った時、 大切な人に残したいものがある。 インドで孤児たちの救援事業に従事する男ヤコブと、その活動に資金援助を申し出た実業家の男ヨルゲン。 共通点がなさそうな2人のデンマーク人の男を巡って展開されるスリリングなドラマに目が釘付けでありました。 巨額の資金援助と引き換えに、祖国デンマークに残ることを条件にする、娘の結婚式で昔の恋人に再会させ 衝撃の事実を知らせるなど、お金持ちヨルゲンの不可解な行動は、 メロドラマ的な何でも手に入ることに飽き、更なる刺激を求める金持ちの歪んだ道楽や歪んだ愛情、 さらには悶絶ものの復讐のようにも思えて、なんとも釈然としないわけであります。 そんな釈然としない思いとは裏腹に、デンマークの美しい景観、伝統と格式を感じさせられる 建物や調度品、娘の結婚式でほっこりさせられたりもして、 そうかと思うと、登場人物たちの目、唇などにカメラをズイズイッとクローズアップさせて 言葉に出ない感情を訴えかけてくる意味深な演出にすっかりと飲み込まれてしまう絶妙さであります。 そして、いよいよミステリアスなヨルゲンの行動の真実が明かされるわけでありますが、 この男の痛みに涙、涙であります。 もう金持ちの歪んだ道楽とか言ってごめんなさいと必死に謝りたくなるほど、 大きく深い愛情に、器のでかい男ぶりに完敗です。 対して、ヤコブは理想を追い求めた生活を奪われ、デンマークでの現実へ送り込まれることになるわけで。 なんとも言えない複雑な思いが駆け巡るのであります。 一緒に来てほしいと願った我が子のように愛していた孤児の少年は、 インドにいたいと言い、燦々と降り注ぐ太陽の下、 幸福と輝きに満ちた顔で元気に遊びまわり、その姿を寂しげに見送るヤコブの顔が実に印象的でありました。 主人公のヤコブを演じたのは『007/カジノ・ロワイヤル』で悪役を演じたマッツ・ミケルセン。 どうにも悪人のイメージが拭えなかったのですが、この作品でリアルな男の苦悩を演じきっていて 素晴らしいのであります。 相対したどうにも出来ない苦悩の抱えたヨルゲンを演じたロルフ・ラッセゴードも、これまた良いんです。 しかし、冷静に考えると、全てを手にしていた男は、多額のお金を遺すことができるわけで、 何もここまでしなくとも…っていう具合に思えなくもないわけであります。 そんな大人の事情を考える隙も与えず、ストーリーに没頭させてくれるというのはやはりお見事。 2007年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネート作品だというのも納得です。 そんなデンマークの女性監督、スサンネ・ビア監督の手腕が光ってます。 家族、愛情、本当の幸福とは、一体なんなのだろうか。 全てを手にしていた男と現実から逃げ慈善活動に没頭していた男の姿を見守りながら しみじみと考えてしまう秀逸な作品でありました。
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