博多帯の染め替え
4年前、義母が遺してくれた着物を着ようと、色々引っ張り出してきた中にあった白の博多帯。 義母がこの帯を締めているのを見たことが1度もないので、最低20数年は箪笥に眠っていたものと思われます。ごらんのようにあちこちにシミがいっぱい。このシミを取ってくれそうな悉皆屋さんを探していたところ、衣類よ集まれ!と言うサイトで、着物の達人として、わが家から車で15分のところにある創業110年の老舗の悉皆屋さんを見つけました。早速相談に行ったところ「博多帯は洗えない。」と断わられました。なぜなら、博多帯は糸に糊をしてから織るので、洗ってその糊が落ちてしまうと、後から糊をしても風合いが全く違ったものになってしまうからだと説明を受けました。その時、”どうしても・・・”とお得意さんに言われて仕方なく染め替えたという博多帯を見せてもらいました。なるほど、博多帯のしゃきっとした感じがなくなっていたし、絹が水に濡れて、アイロンをしてもどうしても残る細かい皺がありました。その時は「わかりました。」と引き下がったのですが、かといってこの帯は捨てられません。先日、もう一度交渉して、何とか染め替えてもらえることになりました。応対してくれたのは社長のお父様。いろいろお話しているうちに、つい「絹物も安くなったので、新しい博多帯を買うか染め直しをお願いするかずいぶん迷ったんですが。」と話すと、「これは昔のええ帯やで。今の絹糸は何処から来てるか知ってるか?」と聞かれました。「えっ、中国じゃないんですか?」「違う、今はブラジルや。」「これが日本の最高級絹糸の小石丸。小さい分手間が掛かるけど織物になったら手触りがまるで違う。こっちが小石丸をちょっと大きく改良した新小石丸。そしてこれが中国の繭。一番大きいのがブラジルの繭や。」と繭のサンプルを出して説明を受けました。その後、それぞれの絹糸で織った生地を触り比べ、なるほど、日本の細い絹糸から織られたものが一番良いと納得。やはり染め替えをお願いして良かったとつくづく思いました。出来上がりは1ヵ月後。楽しみです。今日の着物。帯は一応絹ですが、とっても硬いので、多分ブラジルの絹なのでしょう。