フィレンツェ歌劇場ファルスタッフ
観たの初めてなんですが、これはゴチャゴチャ細かいこと言わずに、純粋に楽しめばいいんだな!というのが感想です、とにかく楽しいオペラでした。吉本新喜劇的なノリで観て聞いちゃっていいと思います。今日だけタイトルロールがジュルジョ・スーリアンで、この人見た目イイ人ぽいのに無頼勘っぽいこんな役合うのかしらん?って思っていたのですが、とんでもない、大変良かったです。懲りない享楽主義者、でもなんとなく憎めないってのは、かえって合っていたのかもしれません。フォード夫人アリーチェ役のバルバラ・フリットリも期待と不安半分だったのですが、喜劇的立ち回りに十分答えてくれた上に声の存在感抜群、さすがです。もともと今日は彼女目的だったこともあって、大満足です!ファルスタッフを懲らしめる罠へ誘う役を毎回仰せつかってくるクィックリー夫人のエレナ・ジーリョがとてもいい役回り演じてました、この人のおかげで舞台が盛り上がったって言っても過言じゃないと思います。ファルスタッフを引っ掛けるために「フォード夫人が○○時にお待ちです」という伝言を、相手にはもっともらしく、観客にはうまくひっかけてる~と思わせる歌い方演じ方は名脇役ですよね。さてナンネッタ役のボンファデッリって、この演目フィレンツェでプレミエでやった時体調不良で降りたから今回も来ないって聞いていたのに・・やっぱ招聘元が名を求めたんでしょうか、声質・容姿の役柄相性はともかく、3幕アリアはSonnambulaに続く大失望でした(ファンの方にはこんな言い方もうしわけないですが)。これ以上は言うことありません。指揮のズビン・メータ、彼のオペラには批判の声も聞きますし、事実今日も短いブーが聞こえましたが、私は新喜劇的なオペラを楽しくまとめていたと思います。「今日のメータ聞いて安心したわ」なんておばさんの会話も聞きました。演出も、特に3幕の森のシーンへの移行を、ファルスタッフが寝ているベットだけ残して周囲が入れ代わり、目覚めたファルスタッフが夢だか現実だか区別つかないまま仮装した妖精たちに囲まれ恐れおののき、自分の従者を見つけて現実で騙されてると知るっていうのは、面白かったです。2幕ラストでファルスタッフを窓からテムズ川へ投げ込んで、巨体の水飛沫が窓際にいる人にザブンとかかってきたりとか、進むごとにワクワクして楽しい舞台でした。平成18年9月16日 東京文化会館にて