カテゴリ:小林酒造と谷田製菓
小林酒造と谷田製菓
栗山ミニ町史から文面を拝借しております。 札幌方面から栗山町への入り口、道道45号の夕張川にかかる馬追橋を超えると、 赤茶色のレンガの建物が並ぶ。いつもしっとりと光や空気を抱き込むようにたたずみ、 心を穏やかにしてくれる建物群である。銘酒「北の錦」で知られる小林酒造だ。 その前方数十メートルの位置には「日本一のきびだんご」と書かれたレトロな看板が見え る。谷田製菓である。 ともに古くからここ栗山町で、商・工業を育み、文化の一端を担ってきた老舗である。 小林酒造がこの地で酒造りを始めたのは明治34年(1901)。 新潟で米問屋を営んでいた小林博四朗は息子の米三郎とともに同11年(1878)に 札幌で作り酒屋を創業したが、更なる飛躍を目指して夕張川の水利に富むこの地に 拠点を移した。 後継の米三郎(初代)によって質・量とも道内屈指の銘酒の座が築かれた。 さらに二代目の時代には、北海道博覧会において「優良清酒」をはじめ様々な賞を獲得。 戦後はいち早く技術や経営の近代化に取り組む一方、第1回衆議院選挙で当選を果た すなど、二代目米三郎は産業、経済、金融、政界において広く活躍した人物であった。 昭和43年(1968)二代目が没した後、三代目米三郎は「地元の水と米で造った酒を 人々に。」と、道内他のメーカーに先駆けて道産米酒の試作に取り組む。 同54年(1979)「キタヒカリ」を使用した清酒が始めて一級に認定され、三代目の夢は 開花した。 「キララ397」なども使用されるようになり、更に近年は、道内初の酒造好適米「初雫」や 「吟風」による生産を主力とし、注目されている。 地元の水と米を使うことによって、北海道の稲作振興にも寄与しているのである。 「いい酒づくりに終わりはない。北海道の酒米で物語のあるいい酒を造っていきたい」 長年杜氏務める脇田征也さんはこう話し、旨い酒づくりに邁進する。 現在、石造りの建物の一つが「蔵元北の錦記念万」となっている。元の事務書棟が改造 され、一般に開放されているもので、新潟時代から長い年月をかけて収集されたという 小林家所有の美しい酒器や 器、酒づくりの道具など、約五千点が展示され、酒をめぐる 日本文化の奥深さを伝えている。 レンガ造りの蔵の中も申し込めば見学することができる。赤レンガの一・二・三番蔵、 重厚な石造りの四・五・六番蔵からなり、外界に左右されないひんやりとした空気の中に、 ほのかに酒精が薫り、1世紀を超えて流れた時とドラマを漂わせている。 左下の写真は昭和30年代まで活躍した蒸気気缶です。 大量の蒸気が必要になります。この装置は昭和2年に完成し昭和30年代まで活躍した 現:函館ドック製のボイラーです」とあります。建物群とボイラー、近代歴史を残しておりま すね。
様子が紹介されております。 他にも倉庫を改装した「酒の郷なつかしホール」、レストラン「蔵」などがあり酒造の敷地内 はいつも人影が絶えない。 現在、レストラン「蔵」に替わりイタリアン・レストラン「マーノ・エ・マーノ」が営業しておりま す。お店名の意味は「手と手」と聞いております。
レストランの向こうは夕張川。川沿いの遊歩道から見る眺望が美しい。
「きびだんご」は誰もが知っているお菓子だ。 犬、サル、キジをつれた桃太郎と「日本一きびだんご」の文字がある赤と白のパッケージ。 中にこげ茶色の、やんわりとした感覚の甘く懐かしい日本の味がくるまれている。 嫌いという人を聞いたことないが、その製造元がここ栗山町にあることは意外と知らない 人が多いようだ。桃太郎という昔話のイメージが、北海道と結びつきにくいからだろう。 しかし「きびだんご」は、大正12年(1923)生まれの生粋のメイドイン栗山。 「日本一きびだんご」と言う名にも筋の通った由来がある。 きびだんごの生みの親谷田可思三(たにだかしぞう)は、伯父にあたる谷田清次郎の みそ醸造上で修行し、後に水あめ工場を創業、菓子づくりへの一歩を踏み出した。 醸造で得た食品加工の知識や技術を駆使して「大嘗飴」を「平和糖」を誕生させたが、 名称の意味は前者が大正天皇即位記念、後者が第一次世界大戦終結記念というもの であった。いずれも好評であったが、可思三の目標は「単なる菓子でなく、夏の暑さに耐 え、冬も凍らず、長期間保存できて味が変わらず、時には食事の代わりにもなり、子供に も大人にも老人にも喜ばれる菓子」という貪欲さだった。 研究の末、特産品のもち米と豆類、飴を使った珍菓「起備団合」を創り上げた。 起備団合の名は、大正12年(1923)9月2日に起きた関東大震災からの復興を願い、 昔話の中の勇敢な桃太郎に重ねて漢字を当てはめたものという。 可視三は時流の中でいつも菓子の役割を見つめ、提供し続けていたのである。 「起備団合」は一般の人気も博したが、軍需食料としても必需品となり、生産に追われて 可視三自ら製造作業に当たる姿があったと言う。 谷田製菓の敷地の庭に可視三夫妻の胸像が建てられている。 碑銘は「汝小たるなかれ、大いなる馬鹿となれ。」可視三という人の人柄が偲ばれ、 わが「栗山銘菓きびだんご」にいっそう愛着がわく。 毎年4月の第二土曜・日曜日、小林酒造と谷田製菓が合同で「老舗祭り」をひらいてる。 試飲や試食、見学のほかたくさんの出店や催し物が楽しい、春一番のまつりだ。
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最終更新日
2008年02月10日 13時03分17秒
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