前立腺肥大症の治療記録 その27 手術は無事終了
かすか遠くで「手術は終わりましたよ」と呼びかけの声が聞こえた。そして遥か遠くから意識が戻ってくるような感じがした。「あぁ、生きてたんだな」と。どうやら、自分は今ベッドに寝かされて、手術が終わって手術室から入院病棟まで運ばれているところなんだな、と分かった。「ということは、手術で前立腺を切ってしまったんだな」と。「ということは、尿道カテーテルの管も刺さっているんだな」と。全身麻酔がだんだんと醒めてきて、いろんな記憶が戻ってくるような感じになり、一つ一つ記憶が戻ってくることで、「生きている」ことを確信していくような、妙な気分だった。時計は見なかったが、戻ってきた病室の窓から外を見た時に、まだ外は明るかった。その後も1時間くらいは暗くならなかったことと、2月であり、手術が終わって病棟に戻ってきたのは、16時半くらいだったのかな、とか考えたりした。手術後はベッドの上で動けないし、考えることも、そんなことくらいだった。しかし、とにかくこの尿道カテーテルの管により、○棒の先っちょが、ズキズキと痛んだ。ただ、このズキズキとした痛みは、麻酔が醒めて1~2時間ほど我慢すれば、だんだんと○棒と差し込まれた管が馴染んできて、痛みは落ち着いていくのであった。○棒の根元付近が少しズキズキする時間帯もあった。この痛みは手術で切った部分の痛みだったと思うが、カテーテルの管の痛みに比べれば全然マシで、30分くらい少し痛みを感じた程度だった。また、管が膀胱を刺激するためか、無性におしっこがしたい感覚にもなった。様子を見にきてくれた看護士さんに、おしっこがしたい感覚になると告げたら「導尿バッグに尿が出ているので、大丈夫ですよ。管が入ると最初のうちは、しょうがないですよ」と。それを聞いてからは、安心することができたので、それ以降はおしっこがしたいと感じても、我慢しようとしないで、「垂れ流しでいいや」と思うようにした。そう思うようにすることで、おしっこが気にならないようになっていった。これらの問題がクリアになり、その次の苦難は、ベッドの上で6時間じっと寝ていることだった。とにかく腰が痛かった。前立腺の疼痛より遥かにしんどかった。頭を動かすと、全身麻酔の副作用で、くらくらと船に揺られている感覚になるので、腰をさすりながら、安静にしておくことに努めた。夜9時半頃だったか、さすがに辛くなってきて看護士さんに頼んで、体を横向きにしてもらった。すると「もうご自身で寝返りしても大丈夫ですよ」、また、「ご家族にメールしてもいいですよ」と言ってくれるのだった。家内にLINEメールで「手術無事だったよ」と伝えたところ、「知ってる」と意外な返事。その後のやり取り。「何で知ってんの?」「病院から連絡あったもん」「え、何時頃?」「15時55分」予定の時間通りに手術が行われ、終わるとすぐさま家族に連絡を入れるとは、この病院は抜かりがないねぇ、と感心するのだった。それとともに、とりあえず、手術という大きな山を越え、ほっと安堵した夜でもあった。