父
父は以前から胃腸の調子が悪く、食欲が無いということで、この1年くらいでとても痩せてしまっていた。そんなこともあり、昨年末に検査したところポリープができているということだった。ただ、ポリープであれば内視鏡を使って開腹手術も必要ないのであまり心配はしていなかった。父の体力が戻ってから手術する予定だった。今朝、母から電話があった。なかなか体力が戻らない父が、自分から進んで体力を戻すために入院を希望したらしい。病院嫌いの父には珍しいことだ。しかし、紹介された病院で検査するうちに、すい臓がんであることがわかったらしい。すい臓がんは痛みも無く自覚症状もあまり無いので分かりにくそうで、父の症状もかなり悪いらしい。すい臓の中央にできているらしく、手術による切除もできない。他にもリンパ腺などにも転移が進んでいるらしい。たんたんと話す母の話を聞きながら、一番つらいはずの母の前で泣くわけには行かないと思い、精一杯母を励ました。電話を切った後、声を上げてないた。母の気持ち、父のショック、自分の無力さ、いろんな気持ちが混ざっていた。しばらく隣で聞いていた妻と一緒に泣いた。その後は呆然としながらも、今の自分にできることを考えていた。いつの間にか眠っていた。目が覚めると同時に、情報を持ってそうな知人数人にメールを打った。「末期がんに有効な治療法を知りませんか?」と。インターネットで検索して調べた。いろんなページを見る中で、自己治癒力を高める治療法が何種類かあり、余命半年から1年と言われた末期症状から完全に回復した人もいるようだ。お金の問題はあるが、まだ望みはある。絶対に父を回復させる。まだ、何も親孝行していない。僕の子が成人するまで生きてもらうんだ。