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あたしはあたしの道をいく

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2007.03.02
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カテゴリ:拙文であそぼ
山羊さんのコミュ、「同じタイトルで日記を書こう。」から。

あたし自身は、殆ど夢ってものを見ません。

見てるのかもしれないけど、覚えてない。

ぐっすり眠ってるのかもしれないけど、

夜中に何回も目が覚める細切れ睡眠のせいかもしれない。



タロウ&ハナコを両脇に、川の字で眠るから蹴られちゃうし、

子どもは何故か夜中に旅に出ちゃうから、引き止めなくちゃいけないし……

で、なかなか一度も起きずに寝るってわけに行かないのよ。

ええ、寝ても覚めてもハハオヤってのは大変なのよ(笑



というわけで、さっさと諦めて、断片化しました(ヲイ



『夢で見た場所』という言葉に繋がって浮かんできた言葉が、『天空の高み』、でした。

自分でもこの繋がりは良く分かりません。

まあ、要するに、あたしがいるトコはとってもいい天気で、

眠気を誘うぐらい暖かだよってことなのかもしれません。

そんなトコでシゴトするのは辛いっす、とか(笑

そんな断片。



******************************



昼下がり。

キョウコはベランダ脇の床に身を投げ出している。

ベランダの窓は細く開けてあり、春風が優しくレースカーテンを躍らせる。

カーテンをすり抜けた風は、キョウコの髪を撫でて室内に舞い込む。

少し埃っぽく乾いた風に鼻をうごめかすと、隣の敷地にある梅がほのかに匂う。



キョウコはうつぶせになって手足を伸ばした。

春の日差しは思いのほか強く、優しく、室内を照らしている。

キョウコの視界を、ひときわ強く吹いてきた風に巻き上げられたカーテンが遮る。

巻き上げられたカーテンで室内が見えなくなる代わりに、

細く空けた窓の隙間から青空が見える。

淡く深い青空に、薄くたなびく雲。

このまま、吸い込まれそうだ。



春の陽光は眠気を誘う。

春の気だるい陽と、柔らかな風、梅香。蒼穹。

このまま眠りにつけるだろうか、とキョウコは思う。



春風は睡魔になって、優しくキョウコの耳朶で囁く。

体内に残るコーヒーの残滓が睡魔の愛撫に抗いながら、

ゆるやかにまどろみの世界に落ちていく。



目を閉じると、体がふわりと浮かび上がるような感覚。

春風に誘われて、高く高く落ちていく。

今、睡魔に身を委ねれば、天空の高みへたどり着けるだろうか。



それはどうしようもなく、甘い誘惑。

全身がとろけるように、春風に浚われていく。



キョウコは睡魔の誘いを聞きながら、落ちてくるまぶたの隅で、もう一度空を見た。

小鳥が一羽、視界を横切る。

ああ、あの鳥は蒼穹へ帰っていくのだ、とキョウコは思った。

思いながら、睡魔の腕に抱きとられていく。

意識の端で、天空を夢見ながら。



春の陽射しは、少し傾きながらキョウコの背を暖めている。









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Last updated  2007.03.02 12:37:40
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