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あたしはあたしの道をいく

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2008.03.06
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昨日は突然の残業デーだった。



毎月、月初めは仕事がきつい日で、それは新入社員の頃から変わらない。

以前、実家から離れた場所に住んでいたときには、

月初の残業デーは子どもを実家に預けて、羽を伸ばす日と決めていた。

どうせ遅くなるなら……という感じで。



昨日、残業のあと、夜の街を歩いた。

まだ子どもが居ない頃、よく歩いた道を辿りながら、

私はいつのまにか失ったものに、気付いた。




実家の近くに引っ越せば、子育ては楽になると思った。

確かに、一部はその通りだった。

慢性的な睡眠不足、時間に追い立てられるような生活は、解消された。

保育園からの呼び出しにビクビクしなくて済むのは、助かる。



だけど。

私はいつも、実家を気にしている。



私が遅くなると、実家の両親は機嫌が悪い。

しかたがない、と言ってはくれるけれど眉間の皴は深い。

子どもを預かってもらっているという引け目も手伝って、

いつのまにか、残業を出来ない体になっていた。

昨日も、帰らぬ母の帰りを首を長くして待っているだろう子のことより、

首が伸びきった子の相手に疲れた両親の顔色の方が気になっていた。



実家が遠かったときの方が、残業が出来ていた、という逆転現象。

仕事との両立のために実家近くへ転居したはずなのに、

それが却って、仕事との両立の妨げになるという、皮肉。

それに今まで気付かなかったことに、驚いた。



夜遊びなんて、もう随分長いことしていない、

と、ネオンに向かって煙を吐き出しながら思った。

ネオンは、今の私には、とても遠い……。



そして、唐突に、歳をとった、と思った。

以前は、夜歩きすれば必ず声を掛けて来る男がいたのに、今はそれもない。

声を掛けてくるのはジジババばかりで、キャッチにさえ声をかけられない。

バーカウンターに陣取っても、隣から話しかけられたりもしない。

道行く男も、振り返りはしない。



あたしは、

三十路で、

人妻で、

二児の母で。



今更浮ついた声を掛けられても、迷惑なだけ。

でも、それが懐かしくも、ある……。



少しずつ枷が増えて、私は身動きが取れなくなっていく。

それを歳相応の落ち着き、と言うなら、この心の隙間は何だ。

身動きが取れぬまま歳を重ね枯れていくのだと思うと、

何とも言えない空しさに囚われる。



三十路で、人妻で、子持ちでも、私は女だ。

断るものと決まっていても、意を向けられたと思えば嬉しい。

淋しくなれば腕枕が恋しくなるし、悲しくなれば抱きしめられたいと思う。

夫では嫌だ、と言うんじゃない。

夫にそれを求められぬほど、私たちは冷めた夫婦ではない。

淋しいといえば癒してくれるだろうし、悲しければ泣かせてくれるだろう。

でも、それを求められる相手が夫の他にはあり得ない、

という現実をまざまざと思い知らされるのは、辛い。



声を掛けられない、振り返られない、視線を寄越されない、それはつまり、

世の男たちから、「女」として相手にされなくなったのだということ。

私は、女として、衰えたのだろう……。



体の稜線が衰えていたのは、正月に嫌と言うほど思い知ったけれど……

今はそれだけではないのだと、知った。

三十路には三十路の、人妻には人妻の、母には母の、華があるだろう。

でも私は、どうしようもなく、悲しかった。





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Last updated  2008.03.06 12:25:18
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