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テーマ:天皇や皇族について(16)
カテゴリ:大和出版
元来、天皇というのは神道の神主の中にあって、最高位に位置する存在です。ちょうどローマ=カトリック教会の最高位がローマ法王であるようにです。
昔から神主は「言挙せず」といいます。(<言挙>ことあげ:ことさら言葉に出して言いたてること。揚言。) つまり、神主の使命というのは「唯、天の意思を人々に指し示す」ということにあることから、そこに個人的な主観や主張が混じってはならないのです。 以前に皇太子が雅子妃の弁護をした「人格否定」発言が大問題となったことがあります。 それは言葉は大変悪いですが「自分の女房を何とかして欲しい」という、極めて個人的な意見が入っていたからです。 一般人の私たちからみれば、あの厳しい皇室の世界にあって、我が妻を守っているという点では、大変頼もしく美談にも受け取れます。また、そうした意見も大変よく理解出来ます。 しかし、天皇や皇室の宿命的な役割や使命という観点からすれば、あれは大変な問題だったわけです。 それくらいに天皇という立場は、日本では一般の神主の中にあっても、さらに無私の精神で、公に生きることが求められているのです。 天皇家に嫁いだものがイジメにあったり、伝統的な慣習に馴染めなくて、精神的に参ってしまうというような評され方を良くされます。しかし、本当はそのような俗なことではなく、「限りなく私心のない無私の生活」を求められることは、それまでそうした価値観とは違う生き方の中で暮らしてきた者にとっては、想像を絶することなのです。 戦後の皇族から個人的な意見をめったに聞かれないのも、決して戦争の責任からそれを謹んでいるということよりも、それが神主たる天皇の本来の姿だからなのです。 そして、その使命にしたがい、私心をなくして、ひたすらに天の意思を人々に示す生き方に徹しているのが天皇なのです。 それでは天の意思とは何かといえば、それこそが日本人の精神性である「和」です。 したがって天皇の言動のすべてが、和するための手本となるように、全てを徹しているのです。 だから、そのように私心をなくし、身を捧げて人々に和するための生き方を指し示す天皇を、昔の日本人は自分たちには到底真似の出来ないことと敬い慕い、さらに天皇に剣を向ける者があったなら、それを決して許さなかったのです。 靖国神社で西郷隆盛のような国民的な英雄が祀られていないのも、そうしたことに対するケジメからだといえます。 つまり、先の大戦で戦争の最高責任者といわれながらも、天皇に責任なしと主張する人々がいるのも、本質的に「言挙せず」の立場にある天皇は、実質的な権力を持った責任者ではなく、民族存亡の危機にあった当時の日本人の精神的な支えとしての役割を受け持ったに過ぎないと考えているからです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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TBありがとうございました。
おっしゃること大変良く分かります。 なぜなら、記紀原書であるヲシテ文献に、靖国さんの言われることは、すべてリアルに記されているからです。 もとより、古代ヤマトコトバですので、 漢字時代、仏教という宗教が入ってきて以来、古来の言葉の意味もその思想も、音は同じでも概念を違えてしまったのは、大変残念です。 天皇(アマカミ・・・後世はスヘラギ)のお仕事は 「アメヲシル」ことでありましたし「アメヲマツル」ことでありました。 また、建国以来の唯一の憲法はトのヲシテであり、 一口に言えば和で「貴方のために、私は何をしましょうか」という心持ちであったと記されています。 アマカミはこの心、私ごころを完全に無くし、全ての民のために生きられます。 それを「ヲヲヤケ」というと書いてあります。 天皇のお立場ですね・・・ 書き出せばきりがないのですが、またお邪魔させて頂きます。 (2005年11月07日 00時08分22秒)
すみません。
コメントが、ダプルになってしまいました。 ひとつ削除して頂ければ幸いです。 私は、自分の日本人たるアイデンティティーを求めて、やっとヲシテ文献にたどり着いた者です。 ただ、コツコツと読み解いておりますが、 ぜひまた拙ブログにお越しくださり、コメントなど頂ければ幸せに存じます。 よろしくお願いいたします。 (2005年11月07日 00時21分53秒)
まいそふぃーさんへ
書き込みありがとうございました。 またコメントをいただき、私も大変勉強になりました。 今後ともよろしくお願いいたします。 (2005年11月07日 08時50分22秒)
>元来、~
これはそうでしょう、陛下=法王、将軍=国王でしょう。 >以前に皇太子が~ これも秋篠宮様の苦言が正しいでしょう、残念ながら皇族、それも次期陛下になられる方が、あのような発言をするべきではないと考えます。 >靖国神社で西郷隆盛のような~ これは微妙ですね、新政府が善だと考え陛下を利用した人間たちの勝手な行動ともとれます。 陛下に牙向いた者と考えるなら、将門の分祀問答が一番分りやすい例かと思われます。 >つまり、先の大戦~ 立憲君主制が不備ながらも機能していた、させようとしていたことは事実ですし、陛下の軍事命令はありましたが、そこまで厳密に考えたら、世界はまったく善なる国は無になると考えます。 TBさせていただきますね^^ (2005年11月07日 19時19分50秒)
σ("ε";) ボクは、もう天皇制は必要ないと思います
天皇陛下や皇族の人達が、この国には必要ない と言う意味ではなく、天皇制そのものが、 終らせても良いんじゃないかな~と。 (2005年11月11日 06時57分20秒)
遅ればせながら、こちらからもTBさせていただきました。
読み応えのある記事ですね。 過去ログもじっくり読ませていただきます。 月刊「記録」編集部 http://gekkankiroku.cocolog-nifty.com/edit/ (2005年11月22日 22時27分46秒)
月刊「記録」編集部さんへ
ご訪問コメント&TBありがとうございました。 出版したい企画原稿がいくつかございますので、よろしかったら是非お声をかけていただければ幸いです。 (2005年11月23日 00時15分09秒)
TBありがとうございます。
今日の新聞に 女性天皇の賛成者は70%を越えると書いていました。 なぜ女系とか男系の説明を もっとしないんでしょう? 天皇って何のために存在しているのかと 良くわかりませんでしたが そっかぁそういうことなのねと 日記を拝見して思いました。 右でも左でもないワタシですが、この今の流れはなんか引っかかる問題ではあります。 (2005年11月25日 22時00分53秒)
天皇制については非常に微妙な問題なので軽々しいことはいえないのかもしれません。
だた、私が思うには天皇、皇后といえども人間なのだということです。 歴代の天皇の中にはそれはそれは、ものすごい方もたくさんおられました。 雄略天皇のように血で血を洗うような人生、もちろんそういう過程をたどることによって中央集権が進み、日本という国というか一つの集団が出来ることにより、他国の侵入を防ぐためには必要なことであったのかも知れませんが…。 皇后さまといえどもいろいろな方がおられました。 仁徳天皇の皇后磐の姫などは、非常なやきもち焼きで知られています。 もちろん、この時代天皇家というものが今と随分形が違い、力を持つ豪族との結びつきが必要だったわけで、その点皇后が強いというのは、すなわち実家に力があったということで、単なるやきもちやきとはいえ無いのかもしれませんが…。 とにかく私が言いたいのは、天皇制というのは昔から不変の形があるというのではなくて、その時代にあった形をとれば良いのではないかということなのです。 皇太子様、雅子様、大変素晴らしい方です。 私としては、お二人らしいご夫婦でありお二人らしい皇室を作っていただけれたそれが一番いいと思う次第なのであります。 (2005年12月09日 20時59分37秒) |
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