良い政治とは何か＆良い政治家とは

・いわゆる「第３極」を標榜する石原、橋下両氏は保守主義者に非ず・

　石原慎太郎 前東京都知事は、辞任会見で新党結成を宣言、保守勢力の結集に
よる必要性を訴えた。
　石原氏がいうところの保守勢力の概念が極めて曖昧であり、問題であることも、
その後の言動で明らかになった。
　石原氏は応援団長を自任するミニ政党「たちあがれ日本」に身を寄せた。、
　これを受け、「たちあがれ日本」を一旦、解党し、石原氏を党首とする「太陽
の党」を立ち上げた。実質的には党名変更である。
　その後、石原氏は、「減税日本」率いる河村たかし 名古屋市長とともに記者
会見し、「太陽の党」と「減税日本」との合流を発表した。

　ところが、翌日には橋下氏率いる「日本維新の会」との合流し、「減税日本」
との合流を反故にした。政治家以前に人間としての信義をどう考えているのか穿
疑わざるを得ない。
　
　一方で、「日本維新の会」を率いる橋下は、どう見てもその言動は保守主義者
ではない。
　
　例えば、参院の廃止・解体、首相公選、衆院定数半減など訴えている。
　「日本維新の会」を看板にしながら代議制国家としてのわ我が国の議院内閣制
に公然と攻撃を仕掛けている。、、
　
　橋下市長の言動は市場原理主義によるわが国の歴史と伝統と文化の破壊思想であり、
反伝統主義者そのものである。
　石原氏は、その反伝統主義者と組もうというのであるから、保守主義者ではな
い。石原氏が強調している保守勢力の結集とは矛盾する言動、現象である。

　石原、橋下両氏の共通目標の１つが反官僚、官僚たたきであるが、いかがなも
のか。

　初歩的な疑問として、脱官僚、官僚組織なしに国家運営が成り立つのか。

　世論や民意に流され、左右されやすい政治家と異なり、官僚は長期的視野に立

った国家運営を行うことができる。
　政治家は官僚を叩くものではなく、その能力を引出、活用すべきである。
　
　反官僚、脱官僚がいかに愚かなことかは、「脱官僚」を掲げて、役人にとって
代わろうとして失敗した民主党政権を見れば明らかだ。
　
　問題は、国家に忠誠を尽くす官僚が、国家国民のために、その能力を発揮でき
ない環境、あるいは官僚の能力を阻害するなど、官僚を使いこなせない政治家個
人の能力、あるいは政党にあるのではないか。

　官僚制度・官僚組織に不備・欠陥があるなら、法改正し、改めるのも政治家、
政党の責務である。

　政治家の官僚たたき、反官僚感情は自らの職務怠慢の裏返しである。

　石原氏は国政にいた２５年間、官僚とどう向き合ってきたのか。

　私の見るところ、石原氏は「公」よりも「個」を優先する個人主義者に過ぎな
い。そのような個人主義者が保守勢力の結集を強調し、保守主義と相反する反伝
統主義者の橋下氏と手を取り合い、国政に影響力を行使することになれば、日本
の明るい未来はない。

　所詮、石原氏は常に脚光を浴びたがる個人主義の小説家であり、橋下氏もまた、
脚光を浴びたがるタレント弁護士なのではないのか。