179135 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【お気に入りブログ登録】 【ログイン】

Shige's dialy 「食寝遊」

第2部

海底200,000μ



もともと海底調査とBBQ大会をする予定だ。

しかし朝から具なしパエリアで腹を満たす僕とマコトさん。

paeria
パエリア・握り・黒鯛・ブイヤベースのランチ


トライしながらほどほどに釣れてきてしまうシーバスもなかなかのサイズであることは書いてこなかった。

マコトさん特製「シーバスのヅケにぎり」の完成で、そっけない食事が豪華なランチに変身した。さらに良太が初日に釣った黒鯛が食卓を沸かせる。

海パンも折からの快晴で速乾状態だ。今日は例のポイントをこの目で見よう。

「来られても夜になるかもしれない」・・・・といっていた良太が早くから現れて黒船の出動となった。

良太はロッドを持っていない。海水浴を楽しみながら海底調査だ。

第1ポイントに早速到着した。

僕はまだ見ぬクロをちゃっかりゲットしたいからしっかりタックルをセットしている。

もちろんこのポイントでもキャストした。結果は推して知るべし。

僕らは船が湖底に乗り上げるまでシャローに入り、潮干狩りよろしく水中に降りた。

例の3点セットを装着し、いざ水中へ。

・・・・・・・・・・・

何もいない・・・・というか何もない。

この広大なシャローのどこに隠れ家があってどこに魚やベイトがつくのか?

ウィードの種類はたくさんあって、本で読んだとおり所々枯れていたり新たな増殖を見たりしている。

色が青々としているグラスはとても豊かで小動物がついていた。

植物の名前などどうでもよかった。実際に目で見て確かめたのはその生命感と「彼ら」が住む世界だった。

ゆっくりとした時間が流れた。

船に乗ったり飛び降りたり、船につかまってドリフトしてみたり。

ロッドのアクションを僕に教える良太。空は限りなく青く、この広い湖上には僕らしかいない。

僕はいつの間にか夢中になってここがどこなのか、今がいつで、目的は何なのかなど、わからなくなっていた。

気が付くと航路に近寄っている。良太が早く上がれと僕を急がせた。

浜名湖の水は場所によって違う。この浅さでサーモクラインでもないが熱いと感じるエリアと明らかにフレッシュな低水温が混在する。

良太や幸二、タマちゃんや佐原君はみな、船の上からこの潮の動きを読んでいるのだ。

しかも夜に。目だった大型のストラクチャーや、地形変化の無いこの表浜名湖のシャローで潮を読む能力だけが釣果を決めていたのだ。

黒船のあとを追ってきても釣れるとは限らない。

なぜなら僕らは魚を釣るだけのために湖上にいないからだ。

こんな風にたゆたっているだけかもしれない。



アルカディア号


自給自足、少数部落、人口制限、細く長く暮らすための理論によって成り立つといわれるアルカディア。

もともと僕はこの理屈が大好きなのだが、自給自足の本当の難しさは「無いときは誰も食べられない」ことにある。反対にありすぎは秩序を崩す。

何年か前に米が獲れず、海外から輸入したりして大変なショックだったことを思い出す。

自分の飯は自分で確保しなければ生きてゆけない自給自足。

あるポイントに黒船で出撃した。

目的は食料調達だ。

タマちゃん、幸二、良太、そして僕は完全に子供に帰っていた。というか子供なのか・・(笑

最大の標的はあのでかい蟹だ。いつものサッサーではない。どうやらいつの間にか輸入され帰化してしまった種の「ドーマン蟹」と呼ばれているでかいはさみを持つ蟹だ。

それと例の貝。まあ、食えるものなら何でもよかったわけだが、潜っては拾い、拾っては進み、4人は警察の鑑識班がひき逃げ現場の調査をするかのごとく海底探査を繰り返した。

良く見るとでかいはさみを脱皮したあとが見られる。

岩の隙間に潜むサッサー。

みんなで食べるくらいはそれなりにゲットできる。

少し離れたところで幸二君がなにやらロープのようなものを振り回して大声で怒鳴っている。

「ヘビか?」

「いや、なんか拾ったんじゃないの?」

「ごみか?」

「・・・・・・」

良く見るとうなぎだった。ちなみに怒鳴っていたのは「獲ったど~!!」だったのだ。

そんなに簡単に天然物のうなぎをゲットできるものじゃないと思うが、神は「黒船・アルカディア号」を味方したのかもしれない。

不思議なことが起こるといつも神と悪魔の仕業にするのはごまかしか・・・?僕の悪いクセか・・・・いや本当に神は見ていると考えたほうがいいだろう。

アサリといい、うなぎといい、浜名湖の自然を満喫する経験をどんどん重ねてゆくことがこのときとても自然に感じられた。

みんな夢中でさかさまになっているが僕ひとり体力の限界を感じてデッキに上がった。

強い日差しが焼けた肌に突き刺さった。

収穫に火を通して夜のBBQ大会は盛り上がる・・・・予定だったのだが、午後からあいにくの雨模様。

マコトさんのボルボをどかして全天候型BBQドームに切り替えた。

貝が、黒鯛が、シーバスが、次々に焼かれてゆく。

良太が隠し持っていたアサリを持ってきた頃、用事を終えたタマちゃんが登場した。

チンタの塩焼き
うますぎた夏の宴。ナスが・・・・


佐原君も仕事帰りに駆けつけてくれた。

海の幸、仲間が集えばこれ以上のディナーはない。

例のうなぎも荼毘に付されたわけだが、最後に尻尾までしゃぶっていたのはこの人だった。

犯人
って尻尾が・・・・


このとき、結構長く滞在しているのに自分が魚を釣っていないことがストレスに感じていた。

「まてよ、もしかして俺ボーズか・・・・・」


陣痛


「陣痛とは、分娩予定日近くになってでてくる周期的な子宮収縮で、収縮は段々と強くなっていき、子宮を押し開き、胎児を娩出させる。」

調べたらそう書いてあった。

昨日のBBQがあまりにうまくてビールが進んでしまったために、起きても目覚めることが無いうちに出撃することになってしまった。

ウンコが先か、ロッドが先かと、かの作家がアラスカの奥地で過ごした朝と同じだったかもしれない。

違うのは十数時間耐久でヘビースモーカーのガイドと付き合うのではなく、仲間と楽しいひと時を自分たちのペースで楽しんでいることだ。

がしかし、このとき最大の失敗はウンコをしなかったことにある。

まだ、なんと言うかその、準備が出来ていなかったわけだ。したいとも思わなかった。

朝、良太が友也君を連れてきた。

次男は大体長男より頭がよくて、女に持てて、カッコいいのが相場だ。

類にもれず友也君はそのずば抜けた筋肉質の体がシャツからはみ出していて、鋭い目つきのナイスガイだった。

笑顔からこぼれるあどけなさが年齢を物語っているものの、今すぐ芸能界入りをお勧めしたい。ジャニーズにも友也君ほどいい男はいないだろう。

ナイスガイとともに湖上に出た。「兄弟水入らずの方が似合うな」などと、自分の境遇に照らしながら二人のやり取りを見ているうちに、陣痛が・・・・・・・

もちろん僕に子宮があるわけでなく子供も産まれないのだが、この周期的な痛みと明らかにうごめく物体感。

空模様は雨だ。少し不安定な気圧配置の中で浜名湖上空に途切れ途切れに流れ込んでくる暗雲。僕の腹の調子をそのまま表現しているかのようだ。激しい雨が僕らを襲った。

ずぶぬれの直前に達して橋の下に避難した。しかし僕は違う限界を迎えようとしていた。

発射時刻が完全に読めるようになってきたときについに僕は良太にお願いした。

湖上での発射を免れたい。

「悪い。引き返すか、陸に上がれる場所につけてくれ・・・・・」

「何~~~~!!??」

「そ、それが、陣痛が・・・・」

「・・・・・って、言っても」

「いつかコンビニで買い物したジャン・・・・」

「弁天島ね?って、この雨の中せっかく非難したのに・・・・」

「そうそう、あそこの公園に確かトイレが・・・・」

この当りでケツの筋肉をフルに使って我慢している。

「よし!イッチョいったるか!チョッと走るけど大丈夫?」

「・・・・・」(言葉も無く肯く僕)

波の小さな衝撃もこのときの僕にとっては針のむしろ。

桟橋を借りてなんとか上陸した僕の目には例の公衆トイレしか映らなかった。

走りこんで間一髪、セーフ!!

また一つ、浜名湖で最高の幸せを感じることとなった。

悪魔の仕業か、はたまた神の微笑みか。黒船は「アルカディア」から「ノア」に称号を変えていた。

弁天島のシャローで爆釣している兄弟が陸から見えた。

一人が釣ればまた一人と、連続ヒットを繰り返している。

「カツオの1本釣りじゃないんだから、やめなさいって!」独り言だ。

用事が済んだことを指笛で知らせたが、なかなか拾いに来てくれない。ウンを使い果たした僕はしばし爆釣兄弟を美しい雨上がりの弁天島をバックに見物した。




第3部へ

reportの表紙に戻る

TOPへ戻る



Copyright (c) 1997-2018 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.