523372 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

山形達也84歳の心理学

2014.06.20
XML
カテゴリ:研究室風景
さえ:

学生の修士論文発表のことを書いてきました。リハーサルで学生の用意した話がそれでは印象が薄いよ、こうしたら良いのじゃないかとぼくは自分の考えを言いますが、学生はなかなか話すときの話し方の良し悪しを理解しません。わかってくれる学生ならば良いのですけれど、わかってもらえないこともあります。こういう時ぼくは、よほどのことがない限り自分の意見が最上のもとして押し付けることはありません。

だから、駄目な教師なんだよな、一番良いと思ったらそれを押し付けても学生にそれを体得させて納得させるのが本当だろ。それをしないことで、自分のことを良い教師と思っているなんて、似非教師そのものじゃないか、と思わないでもありませんけれど、なかなか自分のスタイルは変えられません。人の心の中にずけずけと踏み込める熱血教師にはなれないのですね。元々、原子以外には絶対的なものなどないと思っている人間だからでしょうね。

以前のうちの博士の卒業生で、論文発表のリハーサルを聞いたら、研究の流れが逆になっていて愕然としたことがありました。それじゃ話のインパクトがなくなってしまうじゃないの?

彼女はガングリオシドGD1aがNOS2の発現を抑える研究をしていました。この細胞ではMAPKシグナル経路がNOSの発現を抑えていることをまず明らかにしました。実際に、この細胞は普通の状況でEGFRからシグナルを送ってすぐ下流のGRB2を活性化し、これがMAPKを活性化しています。GD1aのシグナルを調べるとEGFRを通ることなく、直接GRB2を活性化し、引き続いてMAPKを活性化していることで、NOS2を抑えることがわかりました。

これってすごい発見ですよね。GD1aは既存のNOS2発現を抑えるシグナル経路を活性化して、NOS2発現を抑えるのですよ。

ですから発表するときも、このような順序で話せば良いのに、GD1aはGRB2を経由してMAPKを活性化してNOS2の発現を抑えた、そしてさらに調べると、この細胞はEGFRが刺激してGRB2を経由してMAPKの活性を上昇させてNOS2を抑制しているという話です。

なんだか、香辛料の入ってない四川料理、カレーを入れ忘れたインド料理を、ホップの抜けたビール、おととい栓を開けて冷蔵庫に置いておいたコカコーラを飲みながら食べているという間の抜けた話になりました。

ぼくは直ぐに問題点を指摘して、注意したのですけれど、博士論文をこのように書いてしまったから、もう話は変更できないと言い張ります。もちろん、そんなことはないのですよ。話すときは口頭で話す効果の最大を狙って話を構成して良いのですから、変更しても、全く問題ないのです。でも、彼女はそう言い張って変えようとしませんでした。人に言われて直すのは面子に関わるのか、面倒だったのか、話し方の重要性をわかっていないのか。。。

ま、しゃあないよね。最後はぼくの問題じゃない。。。

案の定、審査員の一人から、話の順番を(ぼくがうえに書いたように)入れ替えたら、遥かに内容の価値が伝わるだろうと指摘されました。自分で自分のやった価値がわかっているのかね?とも。

この審査員に拍手。。。

あの、馬鹿奴、と思いながらぼくはこれを聞いていました。せっかく良い研究をしても、ぼくの言う通りに手を動かしていただけで、これが理解できないお前は博士に値しないね、とまで思いながらね。

さてこんなことを書いている今、同世代の人たちがどんどん世を去っています。6月13日にはオペラのバリトン歌手だった平野 忠彦さんが亡くなりました。未だこうやってせっかく生きているのに、人の悪口を言っているなんてもったいない話ですね。さえ。もう、こういうことは終りにしましょうね。







最終更新日  2014.06.20 07:48:49
コメント(0) | コメントを書く


PR

X

© Rakuten Group, Inc.