「 日本の英語教育考 受動態の怪」を読んで
ちょっと前に、『日本の英語教育考 受動態の怪』と言う記事を読んだ。https://blogos.com/article/425912/簡単に要約すると:ーーー ーーー ーーー ーーー筆者の中2の娘さんは米国在住歴6年で、今夏に初めて受けたTOEICも900点台半ばという高得点で、英語は相当できる。ところが日本の中2のテストで70点台にとどまってしまった。これは出題内容に問題がある。点数を大きくおとしたのが、能動態の文章を受動態に書きかえなさい、という問題。例えば、* He washes this car.* She made the room clean.* We can see many stars from here.などの問題が出題されていた。日本で受験勉強をした筆者は* This car is washed by me.* The room was made clean by her.* Many stars can be seen from here.と機械的に書きかえることはできるが、ぶっちゃけどの文章もかなり違和感がある。筆者の娘さんは答えを聞いて「え、、、こんな言い方しないよねぇ」と戸惑いを隠せないようであった。上記の解答は筆者が変だと思っているだけで、実はアメリカ人はたまにそういう言い方をするのではないかという微かに覚えた疑念を晴らすために、彼の同僚と友人5名ほどに上記の問題をだしてみた。まず、驚いたのが「このActive(能動態)の文をPassive(受動態)に書きかえられる?」と聞いても、日本の受験英語としては最も基本の型である「He washes this car」すら書きかえられない者すらいたことだ。残念ながら全問不正解した者たちも、アメリカの大学や大学院をきちんと卒業している立派なビジネスパーソンなのだ。同僚の一人はかろうじて1問目と3問目は「It’s awkward though」を連発しながらも、正答にたどり着くことができたが、2問目は「The room was cleaned by her」と書きかえてしまった。今はどうかわからないが、筆者が潜り抜けた日本の受験戦争では、この解答では点はとれない。2問目を「The room was made clean by her」と答えることができた者は誰もいなく、受動態への変換に文法的に成功した人全員が「The room was cleaned by her」と答えていた。この解答が正解でないとしたら、日本の英語教育が目指しているものは一体何なんだろうか。ネイティブが使わないような言い回しを出題する英文法のパズルばかりやるのではなく、どういう時に受動態を使うのか、という実践的な知識も一緒に教えるべきではないだろうか。ーーー ーーー ーーー ーーー英語のよくできる人が書いていると思われる。これによると、日本では英語圏では全く使われない表現形を教えている。私の属していた生命科学の社会では英語が共通語だから、論文は英語で書き、英語で書かれた論文を読んで、英語を日常的に使っていた。論文は客観的に記述するので受動態で書くることが必須だったが、20世紀終わろごろから、それまで決して使われなかった"I"で始まる能動態を見かけるようになった。私も21世紀に入ってからはDiscussionの所で"We"を使ったことがある。つまり日本の英語教育は100年ぐらい前の英語を教えているのだろう。私も英語で講演したり話すとき、この言い方はひょっとしてShakespeare時代の英語かな、或いはChicagoで2年暮らしたので、関西弁に当たるような英語方言かなどと案じながら使っていた。つまり英語の科学論文は読めるけれど、実際に使われる英語にはあまり自信が持てない。