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わたしのブログ

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続きです。

翌日デッキで、自称共産党なるものが皆に捕まって隣地にかけられていた。わたしも行き「こいつらか、卑怯な日本人は、よく顔を見せろ。」と襟首をつかみ、よく見るとわたしと同じくらいの者で蒼くなって震えていた。「こいつらの犠牲になって捕まり、シベリア送りになって重労働を課せられた日本人は何百人いたか。」と今まで耐えてきた腹立ちが一気に爆発した。「こいつらを生みに放り出せ、あんたたちが出来ないなら俺がやる。」と力任せにデッキの手すりに押し付けたとき、船員が飛んできた。「皆さん、待ってください。本線は員数で輸送しているんです。どうか佐世保に入港してからしかるべき処置をします。止めてください。」とわたしの手をつかんだ。「兵隊だからこそ、こうしてやりたいのだ。」と初めて人を蹴飛ばした。周りの人たちも皆「この人の言うとおりだ。」なんていう一騒動があった。つんのめって倒れた男を船員が連れて行った。「野郎、上陸したら、覚えていろ。」憎しみは皆同じだった。可愛いせがれがこいつらのために密告されて連行された母親もいたそうである。せっかく母親の所まで逃げて帰ってきたものを、・・・・。人のことながら腹が立った。


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