安倍首相 責任放棄
先日内閣改造を行い, 臨時国会でも所信表明演説を行いながら, 安倍首相は職を投げ出すという暴挙に出た.本人の言うとおり, 首相として留まる限り野党の標的となるのは必至. 野党の戦術の前にテロ特措法延長も新案提出も阻止される見込みとなり, 政局の好転が図れるのならば辞任も一手であろう. しかし, 一方でどうにもならなくなったから, 無責任に逃げ出したとも見えるわけである. 反省の弁は再三聞かれたものの, 結局民意を理解できない人であった. 悪あがきをし, 大見得を切った上での辞任は, どう見ても身勝手といわざるを得ない. 田中康夫氏の言うように世間知らずのお坊ちゃんといわれるのも宜なるかな, である. 過去に遡って考えてみると, 戦後最年少での首相だが, やはり経験が不足だったのであはあるまいか. 自民総裁選の際, 自民党としては切り札となる人材であろう, ならばもう一息おいたほうが良いのでは, と思ったものである. 本人の意向か, 周辺の意向かは不明だが, 総裁選に打って出てしまったのは, 残念なことである.首相就任後は, せめて対北朝鮮強硬派として事態の打開を図るかと思いきや, そちらの成果はまるで無く, 出るのは不祥事ばかり. さらには参院選大敗. せめてここで辞任しておれば, まだ再起の可能性もあったのだが, その後も首相の座にしがみつき, さらに不祥事続発. 二進も三進も行かなくなって, 敵前逃亡するようでは, 先は無い. これでは自民党も良い迷惑である. 以下は, 根拠があるわけではないが, 気になる点を二つ. まず, 実は官僚からの圧力があったのでは, という点. 桝添厚労相の年金横領問題の追及を阻止することが目的なのでは. 国民は, 自らの財産を守るため, 今後の動向に注意すべきである.また, 次の首相は, なまじの人材ではこの混乱は収束出来まい. 自民にとっての逆風下の中での首相就任では, 能力を発揮することなく退陣に追い込まれ, 人材の浪費となる可能性もある. この際, 自民総裁でありながら, 唯一首相になれなかった河野洋平氏にピンチヒッターをお願いするのはいかがか. かつての総裁, 現在も衆議院議長であるから, 事態を打開する力量を期待できよう. 河野氏の下, 体勢を立て直した上で, 麻生氏なり, 高村氏なりに後を任せるのが適当かと思われる.もっとも, 個人的には自民の一党独裁体制には危機感を感じるので, 今回の騒動を機に二大政党制が加速されることを期待する. そのためには, 民主党にも, もっと実力をつけてもらわないと困る. 第二自民党を望んでいるわけではないのだ.