2017/06/23(金)01:40
神戸・淡路島・徳島・姫路の旅日記。その4、大塚美術館3.環境展示の続き、スクロヴェーニ礼拝堂、オルファノス聖堂、エルグレコの部屋~古代ゾーンへ。
旅日記。大塚美術館の続き。
環境展示(12室ある!)で圧巻のシスティーナ礼拝堂でしたが、
もう一つの見どころはこちら。
スクロヴェーニ礼拝堂壁画 北イタリア バドヴァ市 ジョット
間口841×奥行2090×高さ1265
またもや圧巻の広さと、美しい青。写真撮りまくりです。
システィーナ礼拝堂は最初の部屋だったので、本当にびっくり感動でしたが、
もしかしたらこっちの方が好きかも。
この礼拝堂を建てた人は、エンリコ・スクロヴェーニ。
その父のレジナルドが高利貸しで財を成して有名な人でその贖罪のためにこの礼拝堂を
建てたそうです。
絵を描いた人が、ジョット・ディ・ボンドーネ
中世末期の死せる絵画の復活者と言われて、人間的共感に満ちた正規ある場面を想像したと
評価されています。ルネサンス絵画の礎を築いた画家。
(ミケランジェロより200年前くらいの画家です。)
『ジョットの代表作は1305年に完成したパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の装飾画である。
この一連のフレスコ壁画は聖母マリアとイエス・キリストの生涯を描いたもので、
初期ルネサンス絵画の中でも最高傑作のひとつといわれている。』
それを目の当たりにできて、やっぱり大塚美術館すごい!
この日記シリーズに載せてるのは、全部ゆみが大塚美術館で実際にとってきた写真ですが、
中でもここは、素晴らしく色がきれいです。
西壁一面は「最後の審判」。
ココだけで(縦1000 x 横840 cm)あります。
<『最後の審判』の中央には聖座に背をかけているキリストが描かれており、
その左右には彼の十二使徒が描かれている。
キリストなど天界の主人達は絵の上半部におり、
下半部に描かれているのは審判の様子となる。
天国に行く人々達は天使によって道案内され、
地獄に堕ちる人間は、地獄の入り口に吸い込まれている。>
うーん。やっぱり誰が描いたのでも最後の審判には怖い場面があります。
地獄側は小さめ画像で載せときます。
こちらは天使に導かれる天国側。
他に描かれてるのは、「聖母マリアの生涯]12場面。
「キリストの生涯」25場面。
写真、キリが無いくらい撮ってきました。
「最後の晩餐」
大塚美術館にいったい何個の「最後の晩餐」があるのかしら。
本当はキリストは、ヴィザンティンでは常に左側に、西欧中世では中央に
位置して、全員をテーブルの向こう側に座らせていました。
ロマネスクでは(裏切り者の)ユダを目立つようにテーブル手前に配していました。
でも、ジョットはここでは、そのいずれでもなく、12使徒でぐるっとテーブルを
囲んでいます。より写実的になっています。
ガイドの方に言われて気づいたのですが、
後ろ向きなのに後光で隠れないよう、輪は向こう側に描いている配慮がしてあります。
こういうのは、聞いてみないとわからないので、ガイドツアー参加は大正解。
なんと言っても印象的なのは、天井の青色。吸い込まれそうなブルー。
包まれるような青で、ずっとここに居たくなります。
これは、ラピスラズリの青。
もともとゆみが好きな色です。
絵画より、この天井のほうに惹かれちゃいました。
真ん中に十字架。
半円のところに大天使ガブリエルの「受胎告知」が描かれています。
両側。「受胎告知する大天使ガブリエル」「受胎告知を受ける聖母」
大塚美術館は、ゆっくり見られるし、写真がOKなので、もしかしたら
現地でホンモノを見るよりいいのかな?と思えるほど、礼拝堂堪能できます。
ラピスラズリの天井に包まれに行きませんか?
(と、すっかり広告塔になるゆみ。)
地下3階には環境展示の部屋が9個あります。
これまでご紹介したのは、システィーナ礼拝堂。
エル・グレコの祭壇。秘儀の間。聖マルタン聖堂。そしてスクロヴェーニ礼拝堂。
今度は、もう一つの青い壁画。
聖ニコラオス・オルファノス聖堂 テサロニキ ギリシア
間口960×奥行930×高さ670
『ビザンティン(東ローマ)帝国時代に建てられた聖堂。
テサロニキ(ギリシア)の東側城壁の一隅にひっそりと建っている。
建築は円蓋をもたないバジリカ式で、初期キリスト教以来の伝統を堅持しつつ、
後期ビザンティン建築で流行したU字形ギャラリーを設けている構造。』
ここはちょっと薄暗いです。壁画もあんまりはっきりしてない。
きっとホンモノがこんな感じだからなのでしょう。
『建築は円蓋をもたないバジリカ式で、初期キリスト教以来の伝統を堅持しつつ、
後期ビザンティン建築で流行したU字形ギャラリーを設けている構造』
アーチになってるところが素敵です。
フラッシュは使えないので、アーチの中の壁画がよく見えませんが・・・。
でもアーチになってるとこが魅力的。
四半休型の天井部分はコンクというらしいです。
描かれてるのは、聖母とミカエル、ガブリエルの二大天使など。
ココでも、北の壁には「最後の晩餐」。
裏切り者のユダはどれだ? ですが、どうやらテーブルの上のお料理に
手を出してるのがユダなようです。
ここは、システィーナや、スクロヴェーニとは違い、コンパクトですが、
絵はたくさんあって…
数多くの聖人像、キリストと聖母の生涯の出来事を祝うビザンティン典礼の十二祝祭、
キリストの受難と復活の物語、アカティストス(聖母讃歌)、
聖ニコラオスの生涯やメノロギオン(聖者暦集)などが描かれています。
あんまりゆっくり見られなかったな~。(次々と目移りして)
こんなにたくさんあったんですけど。
帰ってきてからじっくり写真を見るのも、一つの観賞方法かもしれませんね。
さて、エルグレコのお部屋で、前回日記に載せそびれたものがあったので、
付け足しておきますね。
エルグレコの作品は、祭壇だけじゃなくって・・・
「オルガス伯爵の埋葬」もありました。
『本作の上部にイエスに導かれ天上へと昇華してゆくオルガス伯の魂の昇天を描き、
下部に当時の知識人や有力者に囲まれながら、
執り行われる肉体の埋葬を描くという上下二分割の構図で表現されている。』
もう一つは、「聖マウリティウスの殉教」
こちらは、「聖アンデレと聖フランチェスコ」
『プラド美術館(スペイン・マドリード)の収蔵品で、
時代も場所も異なる聖人を組み合わせた聖会話の形式。
聖アンデレは、ガリラヤの漁夫で、十二使徒のうち最初にキリストに従い、
その上で磔にされたというX形の十字架を持つ。
一方、聖フランチェスコは、12世紀後半から13世紀初頭のイタリア・アッシジの
フランチェスコ修道会の創設者で、清貧、童貞、服従の誓願を念じた三つの結び目のある
腰縄を下げ、両手には十字架上のキリストと同じ釘の傷(聖痕)を受けた姿で描かれている』
「三位一体」
『プラド美術館(スペイン・マドリード)の収蔵品で、
神の実体は唯一でありながら、その位格は、この世のあらゆるものを創造した父なる神、
人間の罪を十字架上で償ったイエス、使徒などに下される聖霊の3つが同位にて存在する
ことを意味し、現在のキリスト教の最重要教義とされているもの。』
プラド美術館にホンモノを見に行かれることはないと思うから、
大塚美術館で撮ってきた写真と、買ってきた解説書を見て、日記に載せるのは
楽しい作業です。
「勉強になる~」と独り言言いながら書いてますよ。
ただし、ほどほどにしとかないと、この美術館日記は終わりません。
このあとガイドツアーは古代へと進みます。
まだ、イタリアの「鳥占い師の墓」と「貝殻のヴィーナスの家壁画」が地下3階に
あるのですが、そこは飛ばして、同じ地下3階の「饗宴」などの展示へ。
まだまだ序の口です。大塚美術館見学。
古代のフロアには、床にも絵がありました。モザイクです。
本当に床です。ということで、わざと足と一緒に撮ってます。
踏んだら申し訳ない気がするのですが、普通に床の通り道にあります。
そこを通って古代ゾーン。こちらもモザイク。「獅子狩り」
アップにするとモザイク感がわかります。
古代ゾーン、「飛び込む男の墓」などの展示は次回日記で。
大塚美術館ならではの施行で面白いのは、壺の展示。
本当はツボなのですが、ここでは切り開いたモノを陶板にしています。
これは、実際にはあり得ないことですが、描かれてる絵がよくわかります。
裏側も見られるのです。
器の中の絵も見ることができます。画期的な展示。
アキレウスの壺も平面に…。
こんな見方ができるなんて思わなかったので、おもしろいなあと思いました。
続き模様も平面になってます。
こういうのこそ、陶板で作りなおした意義がある作品かもしれませんね。
大塚美術館ならでは…。
大きな壁画作品に圧倒的感動した後ですが、こんな小さな作品も
見逃せないなと思いました。
この延長線上で、お墓の壁の内側の絵なども、並べて見てみる
ことができます。
次回日記で、それを紹介します。
まだ地下3階… 先が長い大塚美術館日記です。
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