ディープとビスケット
昨夜は凱旋門賞に釘付けでした。”ディープインパクトが日本の馬で初めて世界一の競走馬になるかもしれない”そんな期待が日本中でささやかれ、ついにその日がやってきました。結果は、残念ながら3着。でも一番人気となったディープは、幾重のハンデを背負って懸命に走りぬきました。かけてもいないのに、日曜日の深夜に3分そこそこの競馬を観るなんて、今までない経験でしたが、ディープの美しさ、たくましさをみると、なんともいえない感動を覚えました。ここまで日本中の眼をひきつけるディープをみていると、アメリカの伝説の競走馬、シービスケットを思い出します。といっても大昔の馬で、実物は観たことないんですが、史実に忠実な小説と、それを原作にした映画で、その伝説を知ることが出来ます。ビスケットはとんでもなく気性が荒くて、そのくせ頭がいい馬で、神様的調教師と不屈の名ジョッキー、そして情熱に篤いオーナーと運命的に出会い、度重なる危機に立ち向かいながら、伝説の馬になっていきます。時代は世界恐慌で未曾有の失業率に窮していた頃のアメリカ。地方競馬でもうだつが上がらなかったビスケットが、あっという間にトップランカーにのし上がっていく姿に、当時のアメリカ人は夢を求め、熱狂したといいます。かたやディープは、格差社会でどうしようもなく閉塞的な日本の重たい雰囲気に、さわやかな風を吹き込んだと思います。天性のスピードと勝負強さは観る人を引き込んで、つい応援したくなってしまいますが、そんな不思議な魅力はビスケットに通じるものがあります。この二頭は馬体が小さいうえに錘のハンデを背負いながら走るという共通点があります。そして本能的に走ることが大好きな馬であり、人をひきつける。どうしても重ねてみてしまうのは僕だけではないでしょう。ともあれディープ、ほんとにお疲れさんでした。ゆっくり休んで元気な姿で日本に帰ってきてください。そして今年の有馬記念はきっと1番になってね。(今日の絵は、何処かのファッションショーの写真からもらってきました。また本文とぜんぜん関係ありませんので、あしからず。)