緑が生むきれいな空気

 16.4.8

 桜前線の北上につれて、列島の森や林は爽やかな新緑が萌えいずる。
森林浴の癒し効果で知られる木々の緑は、空気をきれいにする素晴らしい働きもある。

 現代社会の自然環境を悪化させている原因に、車の排ガスや冷暖房からの廃熱による二酸化炭素(CO2)と窒素酸化物がもたらす大気の汚染、温暖化やヒートアイランド現象がある。

 この汚れた空気をクリーンにしてくれるのが、樹木の緑と天気の変化、
 すなわち雨や風である。

 植物は炭酸同化作用によって、日夜空気中のCO2を吸収し、酸素を生み出す仕事をしている。針葉樹や常緑広葉樹などの葉は、1グラム当り2~4ミリグラムのCO2を吸収し、その70%相当の酸素を空気中にプレゼントしている。

 ことに桜やイチョウ、プラタナスなどの落葉広葉樹は、新緑の頃が最大で、約3倍程度の働きがあり、地球環境の調和に大いに貢献している。

 さらに、ケヤキの約100枚の葉は、1日に2.3グラムの二酸化窒素を吸収する偉大な力を持っている。
 これは、マイカーが約9キロ走った時に排出する量に相当するという。

 一方、雨は大気中に浮んでいる、目に見えないゴミやちりなどの一切合財を洗い流し、吹く風は、この汚れた空気を一気に薄めてしまう「お掃除屋さん」。

 農業近代化のマイナス面も知っておく必要がある。
 今や、農村の近くには高速道路が通り、トラクターや車の排ガスが年々増加している。自分の田畑の回りに緑を増やし、環境汚染の緩和に努めることで、
心身とも安らぎ、野良仕事を楽しむことができる。
 昔の畔や屋敷林には生活の智恵があった。


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