温暖化とマイワシの異変

(協同組合通信/山椒弾) 平成18年7月25日

マイワシに異変。水揚げ日本一を誇った銚子港で、04年に全盛期の百分の一以下に激減し、05年にはついに、ほぼゼロとなった。日本海側では、資源量を巡って地元漁師と水産庁の間で、ちょっとした争いまであった。

この激減の原因は海流の変化との説が有力。アリューシャン低気圧が弱まり、季節風の力が衰え、日本沿岸の親潮(寒流)が南下しにくくなった。そのため、黒潮(暖流)が北上し太平洋沿岸の海水温上昇。結果、餌のプランクトンが減少し、餌場が縮小。さらに、太平洋側のマアジも減少傾向にあると、水産総合研究センターでは警告(日経05年4月)。

温暖化で海水温が上昇し、四国沖に暖水の渦が発生しエネルギーが増し、黒潮大蛇行が長期化する気配。発生の要因は遠州灘に腰をすえている冷水塊と見る。マイワシやマアジの減少は地球温暖化の警鐘。

これらの魚は、生活習慣病の予防に効果的なDHAやEPAを含む理想的なたんぱく質。水揚の減少は、日本人の血液をさらさらにしてきた良質の自然食品が姿を消すことになる。結果、どろどろ血の要因とされる牛肉を食し、BSEで亡国の道をひた歩むのか。

豊穣な海の幸に感謝し、正しい栄養学を学び伝統的食生活に改める時。EPAとDHAは脳や目に良いという多くの報告がある。日本人の優秀な頭脳はこの成分のお陰だろう。強くて輝く目をもつ漁師の高齢化に連れ、水産物も輸入量が増加の一途。反友好的な言動を強める国に食料を依存すると生命線を握られる恐れがある。
その意味で、竹島問題も見方が変わる。周辺海域がマイワシやイカの有望な漁場である点は重要だ。生活をかけて訴える関係者の行動をしっかりと見守りたい。

安価で健康的な再生可能な魚は、政府の進める健康日本21のシンボル。我国の経済水域から、大衆魚が姿を消す時、肥満し血液どろどろの青白い半病人と医療費が増大し、平均寿命も急低下する。さらに少子化が絡み、体力も経済活力も弱体化し、国連の常任理事国どころか、アジアの三等国になっているシナリオは見たくない。温暖化防止に役立つライフスタイルへの転換が重要だ。


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