秀吉の水攻めに学ぶ

  平成14年5月30日


 大河ドラマ「利家とまつ」で話題の秀吉の備中・高松城水攻めの勝利は史上有名である。
 その秀吉が、戦略として水攻めを考案実施したのは「今年の梅雨は雨が多い」ことを想定し、足守川を堰きとめたトップの決断と自然を見つめる農家出身の知恵の勝利であった。
 その判断は、「セキレイが水辺遠くに巣をつくる年は洪水あり」、「河原の石に蜂の巣がある年は大水なし」などの天気のことわざからヒントを得たのかもしれない。
 
 鳥類の先祖は、数え切れないほど多くの洪水などによる生命の危機を体験してきたので、長い年月の間に、護身の術として天候予知の能力が学習効果の結果、遺伝子に組み込まれ、子孫に継承してきているように思える。

気象庁の長期予報では、気象現象の周期や天気パターンの類似年の解析などの統計的手法も使われている。
その応用例として、「春先にロシア中央部の積雪が少ない年は、オホーツク海高気圧が強くなる」という統計的なデータがある。

農家にとって、今年の梅雨の予想が気になるところであるが、四月の米国大気局(NOAA)の情報では、三月の異常高温でロシアなどの雪解けが通常の年より早いことを報道していた。その後一転して、衛星写真によると、ロシア中央部では四月中旬に積雪が確認されていることから、オホーツク海高気圧の勢力はそれ程強くなく、東・西日本の梅雨明けは順調で高温の傾向となる兆しが見受けられる。


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