桜が一番長生きさ

第4章

4.桜が一番長生きさ

 みんなの村や町で、一番長生きな生物はなーんだ?
 近くに、ちんじゅの森やお寺などがあると、そこに大きな木があるだろう。一人では、腕をまわしても足りないくらい太いよね。日本では、昔からヒノキや杉や桜の木を、村や町を守ってくれる尊いものとして、とても大切にしてきたんだ。それには、わけがあるんだよ。

 その前に、現在生きている動物の中で、もっとも大きなのはアフリカや東南アジアに多く生息している象で、君たちのお気に入りで背が高いのは、アフリカ大陸のキリンだよね。これらの動物は強くたくましかったり、大自然の中で、ゆうぜんと草を食んでいるのを、テレビや映画のシーンで何度も見たことがあるだろう。それは、美しくて素晴らしい大草原サバンナの光景だよね。でもね、大きくて強いから長生きできると言う事ではないから、地球の生物はおもしろいね。

 さて、村一番のお年よりの話だったね。
 地球が、ビッグバンと呼ばれる宇宙の始まりから誕生して、君たちの両手と両足を使っても数え切れないくらい、大昔に誕生したんだ。生命は太古の海から誕生したことが分かっているんだ。みんなの身体の中にもっとも多く存在している成分は、水分なんだよ。その中には、塩分が含まれているけど、調べてみると海水の成分に近いってことなんだ。だから、みんなも海彦かもね。

 それから、長い長い年月をかけて、とても多くの雨が地球に降り注いで、地上には奇跡的に植物が生まれたんだ。これは、広大な宇宙の奇跡だよ。植物に備わった葉緑素による光合成の働きによって、地球の大気中に酸素が増えて、多くの生物が生存をすることができるようになったんだよ。植物の中でも多くの種類があるよね。一年草といって、毎年うまれては枯れて行く種もあるけど、しっかり子孫を残しているんだ。
 
そして、長生きの筆頭がヒノキや杉や桜っていうことなんだ。鹿児島県屋久島のスギの原生林は、高温多湿な気候条件が整っていることもあり、樹齢何百年という有名なじょうもんスギが密集しているんだ。びっくりしたかい? ひょっとして、すでに歴史でならったこともあると思うけど、徳川幕府がはじまった頃やそれよりも前の大昔から、えんえんと、そこの場所に生きてきた事になるんだよ。
いくさがあったのかも知れないし、地震や繰り返し来襲したはずの台風にもびくともしなかったと言う事になるから、まさに驚くべき生命力の強さだよね。尊敬すらしたくなるよね。

 今の日本人は、歴史が始まって以来、世界でもっとも長寿になっているけど、それでも、100歳のご老人はそんなに多くはないよね。中には、100歳をこえても元気な人もいるけどね。
 ところが、君たちの桜の樹は、村一番の長生きなのさ。そして、毎年必ずきれいな花を咲かせるから、その生命力の強さと不思議さに頭が下がるだろう。300年や400年という桜の樹が結構あるんだ。そう、地球上で、もっとも長生きなのは樹木というわけさ。どうだい、こんどの休みに、村一番の長生きしている桜に会いにいってみないかい。素晴らしい桜の精が、君たちにきっと元気をくれると思うよ。

 これも、日本列島が、中緯度に位置していることと、東がわは太平洋に、西がわは日本海という広大な海に囲まれている、地理的に恵まれた条件がなせるおかげなんだよ。
 ひょっとしたら、みんなは世界でもっとも恵まれた村や町に、生まれてきたかもしれないぞ。


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