(令和6年4月18日 中日春秋丸写しで一句 うまい話に載らずとも春の夢♪
中日春秋 (書写) うまい話に載らずとも春の夢 夫と同じく息子には一流大学から一流企業に入ってほしいと願う 母親がいた。会社社長で金と女性にしか興味がないが、いずれ選挙 に出る野心を胸にPТA会長をやる父親がいた。子どもは大人の言 うことを聞いて当然と語る教頭や、体罰を辞さぬ教師もいた▼管理 教育の学校や親に反旗を翻し、中学生たちが廃工場に立てこもる宗 田理さんの小説『ぼくらの七日間戦争』で描かれた「敵役」の一部 である▼ 1985年の刊行で作中の親は学生運動をした世代。体制打 倒を叫んだのに子には従順さを求めるのかと、その世代を挑発して やろうと書いたら、子の側に受けたという▼宗田さんが亡くなった 。子どもたちが知恵を絞って大人を懲らしめる「ぼくら」シリーズ は先の作品以降約50作に上り、発行部数は累計2千万部超。プール に悪い大人と寒天を入れ「人間羊羹」にするなど、描く闘いは楽し げだった▼17歳で終戦を迎えると「国のために死ね」と言っていた 大人たちが「夢を持て」などと態度を変えた。大人の言いなりにな るなと訴える創作の原点という▼『ぼくらの七日間戦争』では、廃 工場に偶然いた老人が立てこもる中学生を助ける。元兵士で理不尽 な命に従った時代を語り、時計の針を戻すなと、こう諭す。「えら い奴が、立派なことを言うときは、気をつけた方がいい」。楽しく 、深い話だから子どもに読まれた。