2024/01/21(日)05:09
(令和6年1月21日)中日春秋丸写しで一句 ハリラクダ月に着陸福笑ひ♪
中日春秋 (書写)
ハリラクダ月に着陸福笑ひ
30年ほど前、国会取材を担当して間もないころに「ハリラクダ」
なる言葉を初めて聞いて、まごついたことがある。自民党の国対幹
部が語るには「その日程で、○○法案を通過させるのはハリラクダ
だ」▼無論「針の穴にラクダを通すようなもの」の略で、不可能な
ことのたとえである。キリスト教の聖書にある言葉からきているの
だが、切った張ったの政治の世界で聖書の言葉が使われるのがどう
も不思議な気がした▼探査機を月面の狙った場所にわずか100㍍の
誤差で着陸させる―。宇宙開発とは縁のない時代の人なら、その試
みを「ハリラクダ」と笑ったにちがいない。宇宙航空研究開発機構
(JАXА)が開発した月面探査機「SLIМ」の挑戦である。未明
に朗報を待った▼結果に「う~ん」となる。探査機は月面に着陸し
たというから成功は成功なのだろう。旧ソ連、米国などに続き、5
カ国目の快挙だが、バンザイの声も控えめとなる。太陽電池が作動
しておらず、目標としていた高精度着陸ができたかどうかがまだ、
分からない▼見事な着地で、日本の技術を宇宙開発競争の過熱する
国際社会に見せたかったが、やむを得まい。着地の際にバランスで
も崩したか▼JАXAによると「60点」の出来とか。満点とはいか
ぬともこの道を追えば、針の穴にラクダは通り、探査機はピンポイ
ントの着地を決めるのだろう。