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最新情報 前立腺がんの診断と治療

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2019年03月17日
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カテゴリ:前立腺がん

◆◆ PSAはやはりすぐれもの! ◆◆ 

 

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これは以前も紹介した、私の病院の生検結果です。

PSAの正常値は一般的には4.0ng/ml以下です。

どんな年齢でもこの値が正常値というわけではありません。
比較的若い方であれば、もっと正常値は低くなります。

50歳未満であれば、PSA 1.01.5以下を正常値にしてもいいかもしれません。

このグラフから言えるのは、PSAの異常値(>4.0)の人で、私の病院で経会陰前立腺生検術を行うと、約半数以上に、前立腺がんがみつかるということです。

PSAの値が大きくなるにつれて、前立腺がんの発見率は上昇します。

PSA20以上では70%の方に、PSA40以上ではなんと90%以上の方に前立腺がんがみつかります。

 

私の病院では、入院の上(2泊3日です)、全身麻酔下(気管に管はいれません)で、
経会陰部から針生検を行いますから、外来で経直腸前立腺生検(肛門から針を入れて生検する)ではありませんので

『痛みもなく眠っている間に』

『感染症も少なく(細菌がいる肛門から針を刺さない』

深刻な副作用・合併症はほとんどありません。

 

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T1: 直腸からの診察で触知不能かつ画像検査で明らかでない前立腺がん

T2: 前立腺に限局する前立腺がん

T3: 前立腺の被膜をこえて浸潤する前立腺がん

T4: 前立腺がんが精嚢腺以外の隣接組織に浸潤している

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前立腺がんがみつかった患者さんのPSAの値ごとの局所の浸潤度を表しています。

このグラフで分かる重要なことは、

PSAの値が大きくなるにつれて、前立腺がんが限局性(前立腺内にとどまっている)から浸潤性(前立腺から外に顔を出している)になることです。

 

PSA1つの腫瘍マーカーですが、

PSAの最も有用とされる理由は、

​前立腺がんを見つけるだけでなく、
根治療法ができる時点、病期で診断できるということです。​

 

これは大変重要な点で、いくら優秀な腫瘍マーカーであっても、治療に反映できなければいい腫瘍マーカーとはいえません。

いかに根治療法ができる時点で、がんをみつけられるかです。

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これは有名なチロル地方でのPSA検診導入の結果です。

縦軸が前立腺がんによる死亡率です。

横軸は西暦年です。

当初、前立腺がんによる死亡率は、スイスでは上昇していました。

チロル地方でPSAと直腸診を対象年齢全員に無料で行った結果、赤の線で示すように急激に前立腺がんの死亡率は低下しました。

この結果をみて、スイスの他の地域でも、
PSA検診の無料提供を行ったところ、チロル地方から少し遅れましたが、青の線で示すように、前立腺がんの死亡率は低下しています。

 

PSA検査のすばらしい点は、根治療法に結び付く早期発見に非常に役立つという点です。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

米国に目を向けると、

前立腺がんは男性のがんの死亡の第2位を占めています。

1位は肺がんです。

 

1991年の米国のがんによる死亡率は

1991年では、10万人あたり 215.1人でした。

ところが、

2009年では、10万人あたり 173.1人と

全体で20%の死亡率の低下が認められました。


内訳をみると、

大腸がん、、女性の乳がん、男性の肺がんは30%以上の減少となっています。

そして肝心の、

​​前立腺がん死亡率は、なんと40%以上の減少!でした。​​

 肺がん低下の原因は、喫煙率の低下が主たる理由

 大腸がん、乳がん、前立腺がん、では、早期発見と早期治療が主たる理由

A Cancer Journal for Clinicians 6311–30, 2013

PSA検査が普及した米国ならではの結果です。

 

男性の前立腺がんによる死亡が非常に多い米国でしたから、
地域の
PSA検診どころか、おそらく内科などのかかりつけ医が、きちんと定期的にすべからく患者さんにPSA検査を行ったためと思われます。

前立腺がんによる死亡が多い米国で、PSA検査をしないことは、ある意味かかりつけ医の怠慢ととられる状況だったのではないかと推測されます。

 

スイスチロル地方の試験結果と米国の前立腺がん死亡率の急激な低下は、PSA検査の開発と普及の始まった年代と一致します。

 

やはり、前立腺がんで死なないためにはPSA検査を受ける以外にありませんね。

 

米国では、PSAによる過剰検査、過剰治療の反省があって、つまり、生検による副作用、精神的な苦痛、治療のいらない前立腺がんをみつけるなど、PSA検査に対して、昨今消極的になりつつあります。

少しPSA検査に懐疑的になっているようです。

PSA検診はすべての男性には勧めないとの勧告もあるようです。

そのせいか最近、減少していた前立腺がんによる死亡率が、上がったとの報告が出てきているようです。

 

しかし、これは、大半の男性がPSA検査を受けている米国の話です。

日本では、かかりつけ医でのPSA検査は推奨されておらず、保険上も簡単にはできない状況です。

地域のPSA検診の受診率(暴露率)も10%ちょっととお寒い状況です。

PSA40以上の浸潤癌、PSA100以上の転移性前立腺がん、遠隔転移の痛みなどの症状から前立腺がんがみつかる状況は変えなければなりません。

浸潤癌、転移性前立腺がんでみつかれば、根治は容易ではありませんし、困難です。

転移性前立腺がんでみつかれば、半数以上の方は5年以上長生きできません。

Uromasterからのお勧めです。
40
50歳で一度PSA検査を受けましょう。

異常があれば、きちんと生検ができる泌尿器科を受診してください。

前立腺がんが見つかったからといって、必ずしも治療する必要はありません。

監視療法も昨今は当たり前のように行われています。

ただし、80歳以上の高齢者では、軽度のPSA異常(~10~20)があっても、私Uromasterは精査しません。
80歳以上大半の方は前立腺がんをもっています。
ほとんどが余命に影響を及ぼしません。

 

要するに、~70歳前後の比較的若い年齢で、死に至らしめるような致死的前立腺がんになりそうな悪性度の高い前立腺がんを早期に見つけて、治療することです。

そうすれば、前立腺がんによる死亡は確実に減らせるでしょう。

そのためには、『PSA検査』をまず受けることが第一歩です。

 

◆◆ PSAはやはりすぐれものです! ◆◆ 




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最終更新日  2019年05月15日 04時21分58秒
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