ラッキィセブンティライフ

2023/03/24(金)22:38

傷心の妙薬

こころ(235)

生きてることの代償に傷心というとても悲しいことがあるものだ。  机の奥底から、メモがでてきた。  父との別れの時だから、半世紀も前になる。  われ一人 病名知りて 隠しおり    いずれは知れしと 思いながらも  うすぐらき 眠れぬ父は 病床に    背なさすりおる母 病名しらず  兄弟を 一人ずつ呼べという   医師の言葉の 暖かくて冷たき  聞き違いと もう一度病名をきく   医師の答えは 前と変わらず  コバルトの 照射に行きし 父の床   いつまでもあれ この暖かさで  治らずとも 命だけは 長らえて   我等子たちの 実花見届けほし    一日せめて一時間 ながらえてと祈る     天よ医よ我が味方して欲し  もう一つ いびきつづけと手を合わす   痛みで眠れぬ父よあわれ  コバルトに 行きし父の床 暖かし   いつまでもあれ この暖かさよ  長崎の大学病院だった。昨日のようにおもいだす。  母もいなくなった、  妻も1年祭を済ませた。  不思議なもので、呼んだら、隣の部屋にいるような気が最近してきた。  こちらが近ずいたからかも。  でも、なんだかこれからが、一仕事できそうな気持が漲る。  傷心の妙薬と謳ったが、父母の思い、妻の思いを完成させることが妙薬のようだ。

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