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徒然”腐”日記

徒然”腐”日記

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Jan 13, 2010
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テーマ:銀魂(1187)
さくさくいきますね~~~~~


さくさくっと!


今夜は第八夜です


これまでのお話はこちら↓




第一・二夜



第三・四夜


第五・六夜



第七夜




毎回注意書き致しますが


土桂の意味が分からない方はバックプリーズ


大丈夫な方のみスクロールして下さいね



























さしたる抵抗もなく、すっぽりと腕の中に収まる桂。
薄い背中に腕を回し固く抱きしめると
夜気に冷えたのだろうか、ひんやりと冷たい。

「守りたかった・・・・・・・か。埒もないことを。」
土方の胸に頬を押しつけるようにして
桂はくぐもった呟きを洩らした。
「貴様に守られねばならぬほど、俺は弱くはないぞ。」

「そりゃあ・・・・・・確かにそうなんだろうが・・・。」
その言葉を、土方は苦笑交じりに受け止める。
そこへ畳みかけるように桂は言葉を継いだ。
「第一貴様、自分が誰かを守れるなどと思っておるのか。」

「う・・・・・・・・・・。」
そう尋ねられるとミツバの面影が脳裏を過り、一瞬返答に詰まる。
だが・・・・・・・・・・・

「守れているかどうかは分からねぇ・・・・
だが・・・・・・・・・俺にはそれしか出来ねぇからな。」
そう答えつつ、背中を抱く腕に力を籠める。

「馬鹿の一つ覚えと言われりゃそうかも知れねぇが
そうせずにはいられねぇ・・・・・・そんだけだ。」
これが偽らざる正直な気持ちだった。

「・・・・・・不器用な男だな、貴様。」
吐息と共に紡がれた言葉には微かな笑みさえ含まれて
「そんな台詞は俺ではなく、女子相手に言うが良い。」
桂はそう言ったきり視線を落とし口を噤んだ。

危うい静寂が訪れる

いつしか虫の音は止み
二人の呼吸と体温だけが静かに部屋を満たしていく

青い月の光を受け、闇の中に浮かび上がる頬
真珠を思わせるその輝き。

指先を滑らせれば
しっとりと吸いつくような手触りに
土方は思わず目を細める。

女の肌のように柔らかではないが
その肉の薄さがむしろさらりと心地よく
土方は掌で包み込むように頬をゆるりと撫ぜた。

桂はされるがまま
何も言わず、視線を落したまま

土方の指先が頬から耳を辿り
その後ろに流れる髪に触れても

まるで精巧に作られた人形のように
体を預け、ただ座っている。

春の宵
満月の下に垣間見た桂は
儚くも、どこか触れることを許さぬ空気を纏っていた。

それが・・・・・・・・・今は

土方は肩に流れる黒髪を一房手に取り
えもいわれぬ艶やかな感触を味わう。

図らずも怪我をした自分を看病してくれた桂。
あれはただの気まぐれだったのだと・・・・・・・
そうは思うのだが・・・・・・・・・・・

一瞬でも心の奥を垣間見せてくれたのだという親近感。
なのに、触れたいと思って手を伸ばしても届かず
行く先を見失い彷徨わせたやるせなさ。

そのもやもやとした気持ちを抱えたまま夏を越しただけに
今こうして桂の頬に・・・・・・・髪に
触れているだけで、胸の奥が熱くなり

生まれた熱はまるで地に落ちて行く紅葉のように
腹の奥底に重く重く堆積していく。

細い顎を捉え、つと顔を上げさせれば
漆黒の桂の瞳に、青い月が映り込む。

とろりと潤んだ黒曜石
その中にゆらりと揺らぐ光に誘われるように
土方は桂に引き寄せられ

そっと
そっと

唇を寄せた。

「これ以上・・・・・・・俺に、触れるな。」

土方は、硬く冷たい声に動きを止める。
声の震えが唇に直に伝わるほどの間合い。

「知っておるか?月には魔物が棲んでおるそうだ。」

身を引く事もせず、視線を合わせたまま桂は続ける。
「大方貴様もその魔魅に囚われたクチなのであろう。」

「俺は魔物に騙されているって言うのか?桂。」
「・・・・・・そうであろうが。」

桂の白い手が、土方の肩に触れた。
衣ずれの音がさらさらと、どこか遠くに聞こえる。

「でなければこのような事を貴様がするはずもあるまい。」
桂の細い指先が、土方の頬に僅かに触れた。
躊躇う様に・・・・・・・ほんの僅か。

「今宵は満月。これほどの見事な月ならば、迷う事もあろう。」
ふ・・・・・・・・と視線を外し
土方の肩越しに青い月を透かして、桂は眼を細める。
「血迷うのも大概にするが良い・・・・・・土方。」

「血迷う・・・・・・・・・か。」
土方は口の端を引き上げて、自嘲気味に嗤った。
「そうかも知れねぇな・・・・・いや・・・そうなんだろうぜ。」

「だがな・・・・・・・。」
僅かに触れた桂の指先を捉え
絡め捕り
土方は再び桂を引き寄せる。

土方の影が桂に重なり、月の光が桂の瞳から消えた。
「月の光なんざ見え無くても・・・・・・俺の中の熱は消えねぇ。」
代わりに映り込む、土方の灰色の瞳。

「逃げるなよ、桂。」
腕を背中に回し、再び僅かに引いた痩身を胸の中に捕らえて

「おまけに今、こうして俺の腕の中にいるのは
紛れもねぇ・・・・・・・・・・
あんたの意志だろ・・・・・・・違うか?」

ふ・・・・・・・・・と小さく吐き出される吐息
ゆるりと伏せられる長い睫毛

それを合図のように土方は
桂の小さく噤まれたままの唇に己のそれを重ねた。





最初は啄ばむ様に

何度も何度も確かめるように重ね

やがて口づけは徐々に深くなり

吐息をも絡め取るほど

いつしか桂の体は埃っぽい畳の上に横たわり
黒々とした髪が艶やかな青い光を放ち、扇のように広がっていた。

「・・・・・・・・・良いのか?桂。」
灰色の瞳は熱に浮かされた光を湛え桂を見下ろす。

「・・・・・良いのか・・・・とは?」
それは見上げる桂の瞳に映り込み、ゆらりと揺れた。

「このまま・・・・・・・俺は、あんたを。」
言葉を継ぐ代わりに、土方は襟に手をかける。

それを制するでもなく桂は土方の肩越しに月を見やり
今まで見せた事のない妖しい笑みを浮かべた。

「今宵限りは・・・・・・

月の魔魅に迷うてみるのも悪くない。」
































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Last updated  Jan 13, 2010 07:04:29 PM
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天方美月

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千菊丸2151@ Re:東野圭吾「手紙」読みました(08/23) はじめまして。 この作品は何度も読み返し…
ハンサムクン3714@ Re:承継って初めて知ったわ(02/20) 第16話の「隊長と寺尾君」をご覧になっ…
てんぽ〜@ Re[1]:空いていてビックリ( ̄O ̄)(02/19) ハンサムクン3714さんへ こちらこそ、お読…
ハンサムクン3714@ Re:空いていてビックリ( ̄O ̄)(02/19) この度は私の描いた四コマ漫画「隊長と寺…

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