●自己治癒力を高める メディカル・プレー「メディカル・プレー」とは、 いつも何かを「される」という受け身の立場から、 自分が「する」という能動的な立場に変わる体験です。 子供たち、特に病気の子供たちにとって、 どんな効果があるのか、まとめてみました♪ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「あなたのおなかが痛かったのは、バイキンのせいなの。だから注射をしてバイキンをやっつけます」 5歳のミッシェルはドクターになりきっている。 お人形の「患者さん」の腕をアルコール綿で念入りに消毒。 「痛かったら泣いてもいいよ。でもじっとしていてね。その方が早く済むから」とおもむろに注射する。 「はい、おしまい。よく頑張ったわね」。 ガーゼ付きばんそうこうをはる手は自信にあふれる。 ここは米国バージニア州のフェアファックス子ども病院。 入院中のミッシェルは、プレールームでメディカル・プレーの最中だ。 メディカル・プレーは、注射器、聴診器など、 本物かおもちゃの医療器具を使った「ごっこ遊び」。 「お医者さんごっこ」と似ているが、 子どもの入院生活を支援するチャイルド・ライフ・スペシャリスト(C・L・S)が 病院で意図的に提供する治癒的な遊びの一つだ。 注射器に代表される医療器具は、普通の感覚からすれば楽しい遊び道具ではない。 頻繁に痛い思いをさせられている病気の子どもにはなおさらだ。 それなのになぜ、C・L・Sは、メディカル・プレーをさせるのだろうか? それは、子どもに主体性を回復させるためだ。 例えば注射器は子どもにとって恐怖の対象。 しかし手に取って、人形の「患者」に使うと、その時点で注射器は子どもの道具となってしまう。 医療器具に慣れ親しむことで、自分の治療に対する理解も深まり、 闘病に前向きに取り組めるようになる。 ドクターになるのも同じ。 敬意と脅威の対象であるドクターに、自分がふんすることによって、子どもは自分の価値を再確認する。 これはいつも何かを「される」という受け身の立場から、 自分が「する」という立場に180度転換させられる画期的な体験だ。 大人の論理が横行する病院の中で、子どもが主体となるためには、あえて「場」を設けなければならない。 安全な空間で、安心できる大人と遊ぶ体験が、 子どもの損なわれた自尊心を修復し、自信を回復させる。 遊びの治癒的効果は計り知れない。 何より希望という不思議なパワーがわいてくる。 笑顔が復活する。 自己治癒力が高まる。 私は今までこれほどよく効く薬を見たことがない。 しかも副作用がないのである。 (チャイルド・ライフ・スペシャリスト 藤井あけみさん 中日新聞より) 天使の図書館・HOMEへジャンプ ジャンル別一覧
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