2009/01/14(水)23:28
ヤング@ハート
今日は久々に映画を見ました~。 「地球が静止する日」「チェ28歳の革命」「ヤング@ハート」この3本のうちどれを見るか直前まで悩んでいたのだけど、それぞれのスチール写真を眺めてたらどうもこのハッピーパワフルなじーちゃんばーちゃんたちに会いたくなってしまったので、「ヤング@ハート」を見ることに決めた。アメリカ、マサチューセッツ州ノーサンプトンという街で1982年に結成された平均年齢80歳のコーラスグループ。それが「ヤング@ハート」だ。ただし、彼らが歌うのはソニック・ユース、ザ・クラッシュ、ボブ・ディラン、ジミ・ヘンドリックスといったロックのナンバーだった。映画は、年に1回開かれるコンサートまでの6週間を密着取材したドキュメンタリー。 見終わって思ったことは、人間ってすごいなあ。ってことだった。
人生の最晩年にあって、まだ新しいことに立ち向かい成長しようとすること。それがいかに人生を輝かすことか。。。「この曲はもう俺たちの曲だ」
そう言った人たちの笑顔が何と晴々と美しいことか。年経てきた彼らだからこそ、ロックにも新しい意味が宿る。人生の重みや深み、そしてなんともいえないチャーミングさも。
コンサートを見ている観客たちの表情が自然に笑顔になっていく。
不思議に元気で幸せになれる歌なのだ。 しかし、この映画はハッピーなことばかりではない。老いには必ず死の影が付きまとうものだから。コンサートを前に亡くなったボブに捧げたFOREVER YOUNG。
「いつまでも若く」
それはただ長生きしたいということではないだろう。身体は老い、病に倒れても、心だけはいつまでも若く、最後のその時まで歌を歌おうという、彼らの決意のようでもあった。心臓疾患を持ち常に酸素吸入をしているフレッドは、デュエットの相手を失った。その喪失感は計り知れない。しかし、フレッドはその曲を一人で唄う。そして涙が君の頬を流れる
かけがえの無いものを失ってしまった
誰かを愛しても報われなかった
これ以上の不幸があるだろうかでも光が君に帰り道を示すだろう
そして君の骨に命を吹き込むだろう
僕が君を治してあげるよ(「FIX YOU」パンフレットより抜粋。)フレッドの歌は本当に感動的だった。目は潤んでいたが、声も震わせず、ボブの分まで見事に唄いきったのだ。 彼らはメンバーの死に対して、大げさに嘆き悲しんだりはしない。それは多かれ少なかれ死への覚悟があるからなのかもしれないが、それらの悲しみは彼らの歌をなお一層光り輝かせているような気がする。1曲1曲が常に最後の曲。そんな一期一会のような心を感じるのだ。この映画の最後はコンサート会場のスタンディングオベーションで幕を閉じる。思わず私もその場に立って拍手をしたいような気持ちになってしまった。心に残る一作になった。