映画 「 肉体の森 」 と 「 恋の掟 」、「 最強のふたり 」 レビュー
もう7月・・。今年1月~2月位に観ていた映画が懐かしい。「 アマデウス 」を始め、「 シルヴィアのいる街で 」や「 モリエール 恋こそ喜劇 」辺り。その内また借りよう。上記は最近契約した、月額\702(税込)で映画見放題の Netflix ( ネットフリックス )には無いので。最近観た映画の内、タイトルの映画3本のレビューを書く。3本中2本はあまりヒットしなかったり、知られていない作品だが、他の人のレビューが少ないことで逆に書きたくなった。「 肉体の森 」 2010年 フランス / ドイツ 合作映画登場人物イジルド・ル・ベスコ【役名:ジョセフィーヌ】・・医者の娘ナウエル・ペレ・ビスカヤー【役名:ティモテ】・・浮浪者というか乞食というか。ジェローム・キルシャー【役名:ラングロワ大尉】・・警察というのか弁護士というのか。マチュー・シモネ【役名:ポール】・・・父親が決めた?ジョセフィーヌの婚約者。彼女に片思い状態。ジャン=ピエール・ゴス【役名:コルボ医師】・・ジョセフィーヌの父親あらすじ1865年、南フランス。医者の娘・ジョセフィーヌは、障害者のふりをして家に上がり込んだ流浪人の男・ティモテに呪文を掛けられ、無理やり体を奪われてしまう。だが、やがて彼女は(自ら?)男の後をついて行き失踪。ティモテとの肉体関係に溺れるようになり…。「 18禁 」のせいか、観た人が少なく、既存のレビューでは物足りなかったので自分で書く。昨日Netflixで視聴。小汚い男を前面に出したジャケット写真に、これまで観る気が起きなかった。「 外したらどうしよう 」と思いつつも思い切って視聴した。大まかなあらすじは上記の通り。娘を連れ去る、ティモテという乞食男は、元の顔は悪くないと思う。しかし黒くて汚い歯と、汚れた指と爪が受け付けない。こんな不潔な状態の男と接触したらバイキンが感染しそう。なのに名前が昔あったシャンプーと同じ名前の「ティモテ」なのもキツい。登場人物が上記と、連れ去られた娘だけだったら、とっくに視聴をやめていただろう。しかしジョゼフィーヌの婚約者であるポールがスッキリした顔立ちの、清潔感あるイケメンだったから最後まで見る気が起きた。ティモテ以外の男は皆清潔で、それなりに地位のある人ばかりだったからどうにか視聴に耐えられた。フランス警察?のラングロワも清潔感があって良かった。ジョセフィーヌが何を考えているのか分からない。1865年の南フランスが舞台だから、日本だと江戸時代末期にあたる。女性が自由に生きられなかった時代にあって、この爽やかなイケメンが婚約者とは、かなり「当たり」だと思う。この婚約者の何が不満なんだろう・・金銭感覚や性格は特に問題無さそうだし。相当ジョセフィーヌに気があるようだ。何で不潔なティモテに自らついて行ったんだろう。後にジョセフィーヌが警察に保護され、ティモテが逮捕された際の裁判で、「呪文をかけられて操られていたので逃げることが出来ず、彼の思うままに犯された」と証言したが、そうなのか?そう思いたいしそれが当然の流れだと思うが、そのように見えなかった。ティモテから逃げたかと思ったら、またすぐに戻ってきたりして、自分から「誘拐・レイプ」される方向へ持って行ったように見える。私にはこの行動原理が理解出来ない。 その後、ジョセフィーヌはポールと結婚、父親の死をきっかけにパリに移り住むことになる。やっと「正当」な道を歩むことに決めたか(視聴者の私にとってはハッピーエンド)。しかしティモテの子供を出産。ジョセフィーヌは引越前に、懲役12年の実刑判決を下されたティモテに会いに行き、子供を見せる。ポールは自分の子供だと思っているのか、それとも乞食との間の子供だと分かっていて一緒に育てることにしたのか・・「 恋の掟 」1989年公開のイギリス映画。コリン・ファースがプレイボーイのバルモン子爵役で出演。「 アマデウス 」で有名なミロス・フォアマン監督の作品。私が今年の初めに「 アマデウス 」を視聴していた頃はまだ生きていたのに、春先に亡くなられたらしい。残念だ。1988年にアメリカで公開された「 危険な関係 」のイギリスバージョン。制作されたのは「 危険な関係 」と同時期だったが、バッティングを避けるため、「 恋の掟 」は公開を1年遅らせたらしい。しかし、普通に同時期公開でよかったと思う。タイトルも「 危険な関係 」にするべきだった。そうすれば、観客は2つの映画を見比べてみようと思い、もっと多くの人に見てもらえた。バッティングを避けるためにタイトルを変えたことで、最近迄この映画の存在を知らなかった。「 危険な関係 」で検索しても出てこないから。タイトルで大損したと思われる。こういう映画多いな。以下に映画のリンクを貼っておきます。恋の掟その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8、その9、その10この「 恋の掟 」の存在に気が付いたのは、最近観た、スカーレット・ヨハンソン主演の「 真珠の耳飾りの少女 」に画家のフェルメール役で出演していたコリン・ファースがカッコいいと思ったから。20代の若手だった頃の映画を調べているうちに見つけた。しかも「 恋の掟 」で、15歳のセシルの婚約者・ジェルクール将軍を演じているのが、「 アマデウス 」でオーストリア皇帝・ヨーゼフ2世を演じていた、ジェフリー・ジョーンズであることが分かり、まさかの「1度で2度美味しい」映画だった。正直、「 アマデウス 」の製作から数年経過しているので、ジェフリー・ジョーンズの体格が良くなってしまっているが、それでも、まだまだイケる。セシルは「年寄りの醜男」と表現していたが、私に言わせれば「どこが醜男だ!」と思う。私の中ではこの婚約者は大当たりだ。では、同じ原作・時代・国を舞台にした「危険な関係」とどちらが良かったか?というと・・世間一般では「 危険な関係 」の方が評価が高くヒットしたらしいけど、私は女性なので「 恋の掟 」に軍配。どういうことかとうと、女性は「 危険な関係 」の方が綺麗な人が多くゴージャス感が出ていたが、女性陣が皆冷たい。ジョン・マルコヴィッチがバルモン子爵を演じているからか、女性にモテているように見えなかった。ミシェル・ファイファー演じるトゥールベル夫人から「しつこい」と言われるわ、ユマ・サーマン演じるセシルからは「本気」で拒絶されるわ。コリン・ファースが演じる「 恋の掟 」のバルモン子爵の方がモテているし、役も合っている。ダンスニーはどちらの映画がいいか?ダンスニー自体に興味がないが、キアヌ・リーブスが演じている「 危険な関係 」の方がまだいいかな?メルトゥイユ侯爵夫人はどっちがいいか・・グレン・クローズという大女優が演じている「 危険な関係 」と、アネット・ベニングが演じている「 恋の掟 」では。若さでは後者の方がバルモン子爵とバランスが取れているが、知的な怖さは前者が勝っていたか。まあ、何にしても、私は女性なので、前から話している通り、同性が美しくても大して気にもとめないので、ジェフリー・ジョンズも出演した時点で、私の中では「 恋の掟 」が勝った。「 最強のふたり 」 世界的に大ヒットした、2011年公開・フランスの現代映画。簡単なあらすじ・・頸髄損傷で首から下が不自由な富豪と、その介護人となった貧困層の移民(黒人)の若者との交流を、ときにコミカルに描いた映画。実話をベースにしている。映画の中で使われる曲で、Earth, Wind & Fire の September と Boogie Wonderland が映画をよりスタイリッシュにしている。富豪の誕生日のシーンの、クラシック(オーケストラ)の曲と、ダンスミュージック(Earth, Wind & Fire の Boogie Wonderland )の組み合わせが絶妙だ。どこの国の人もこのシーンを見たらきっとノリノリでダンスをしたくなるだろう。その他、オペラのシーンでも、「おお!素晴らしい」となるところを、正直な黒人のドリスは「木がしゃべってる」「4時間もドイツ語で?」とバカ受け。ドリスが勢いで描いた絵を、有名な抽象画家が描いたと思われたのか、高値で売れたのに笑った。富豪のヒゲをヒトラー風にしたりと、細部に笑えるシーンがちりばめられている。まあ、富豪の邸宅に飾られている貴重な17世紀の先祖の肖像画にペンキを飛ばす、古いものの価値を分かっていないドリスに「うわっ」となるところもあるが・・フランス映画に期待する、風景の美しさや、お洒落・ゴージャス感も適度にあり、誰が見ても満足する仕上がりになっている。オススメ!