第3のギデオン 5巻 本日電子書籍発売! 王弟・アルトワ伯爵について思うこと。 ※長いです
「第3のギデオン」は、ビッグコミックスペリオールで連載中の、フランス革命前夜を扱った漫画です。前にも書いたけど、昔からアルトワ伯が気になってるんです。アルトワ伯爵は、ルイ16世(王妃はマリー・アントワネット)の末弟で、後のシャルル10世、ブルボン朝最後の王様です。第3のギデオンの2巻~3巻は私にとって正に「待っていた」展開だった。何が待っていた展開かというと、アルトワ伯が義理姉であるマリー・アントワネットに惚れているという展開。ヴェルサイユ宮殿の二人のシーン、素敵だったな。宮殿の庭で彼女を探すシーン(マリー、どこだい?という呼びかけに二人の親しい間柄を感じる)や、「あなたが嫁いでくるまで僕はいつも一人でしたよ」という回想シーン、「何があっても僕だけはあなたの味方です」というシーンなど、何とロマンチックなのか。言われてみたい・・(この回は最後にちょっとオチがある。アルトワ伯は「カッコいいだけ」の描かれ方はされない)この漫画のアルトワ伯爵は悪い扱いではない。マリー・アントワネットとのシーンの描かれ方を見る限り、本当は悪い人ではない。それなりに史実を参照し男前で扱いも大きい。しかし昨日、「最新巻・ 第3のギデオン 5巻」を読んで、アルトワ伯の扱いが悪いと感じて今朝まで鬱々としていた。しかし今朝になって気付いた。アルトワ伯は悪い人ではなかったと。この漫画のルイ16世は「真実を語っているか」or「嘘をついているか」を見抜く能力を持っている。国王は弟がマリー・アントワネットを心から愛していることを知っている。王妃も彼の事を悪く思っていないことも知っている。と同時に、妻が自分を男として愛してはいないことも知っている。マリーを愛する弟が王妃を手荒に扱うはずがなく、安心してまかせられると思ったから妻の部屋の鍵を渡した。アルトワ伯爵は、最終的に彼女の心を傷つけることになってしまった。しかしアルトワ伯が王妃を襲いたい、強引に結婚したいと下心を抱いているだけの男で、マリーが「あんたなんか大嫌い」と思っているような男であれば、人の嘘を見抜けるルイ16世が愛する妻を託すはずがない。安心して任せることが出来ると確信したから妻の部屋の鍵を渡したはずだ。余程信頼していないと出来ないことだ。アルトワ伯は本当は義理姉マリーを傷つける事を言うつもりはなかった。しかし危険が迫っている中、頑固にヴェルサイユに留まろうとする彼女を何が何でも連れ出すには留まる理由を壊さないといけなかった。この漫画のアルトワ伯はいざとなると愛の示し方が不器用になってしまうのだろう。早く連れ出さないとと逸る心と愛する本音が前面に出過ぎた。困ったことにマリー・アントワネットはルイ16世のような人の心を見抜く力は無い。だから表面に出てきたアルトワ伯の言動の奥に潜む愛を見抜けず、「シャルル、見損なったわ!」と思ったかもしれない。彼は損な役割を演じてしまったな。ルイ16世は以前、「命の危険にさらされたら真っ先に逃亡する」と真実を語っていた友人が、いざとなったら友人を助けて死んだような話をしていた。人の真実が読めるルイ16世にも予測出来ない行動を人は取るということだ。マリー・アントワネットがまさにそれに当てはまる。男として自分を愛していないはずの妻が戻ってきた。それは国王の予測を超えて王妃が「国の母」だったということ。国を捨てて逃亡は出来ないと。今回のことで誤解したマリー・アントワネットがアルトワ伯を嫌わないことを願いたい。彼の真意に気付いてほしい。アルトワ伯はバスティーユ陥落直後に亡命しちゃうから、もう登場しないの?もう出てこないのであれば、今後ギデオンは買わないかもしれない。アルトワ伯について色々書く前に「第3のギデオン」について思う所も書いておきます。ヤングジャンプコミックス連載中の「イノサン・ルージュ」という漫画もフランス革命(というより先代ルイ15世時代~のロココ調フランス)を扱っている。ミュージカルや展覧会も活発に行われていて、2015年~この時代のフランスが再流行しているのかな?両者の絵柄を見ると、ほんと少女漫画と少年漫画の垣根が無くなったと思う。描いたのは男性なのに、線が細く精密・ロマンチック・優雅な描写は女性も大いに楽しめる。ただ、両者共、扱っている時代が時代なだけに残酷描写有。イノサン・ルージュの方が残酷描写多いけど。ギデオンみたいなのがうちの親父だったら良かったのに。娘のソランジュへの思いが泣けてくる。外見もガキっぽくはない、だけどそこそこ少年風。ギデオンは三部会にも第三身分代表として参加。若手政治家じゃん、カッコイイ。サン・ジュストも出てくる。彼のキャラクターはこの漫画に出てくる感じが一番いいよ。ルイ16世がロベスピエールの心を読もうとしたシーンが「うしろの百太郎」みたいで笑えた。ロベスピエールといえば「童貞」な描写も面白い。と同時に、サンジュストとかロベスピエールとか、後にギロチン処刑されるとはいえ、政治に参加している身分以上の男性が羨ましいと感じた。国の事について熱く議論を交わす彼らが楽しそうで(寝起きや食事をしている室内を見る限り一般民衆と比べたら裕福そうだし)・・この漫画にロラン夫人という女性(実在の人物)が出てきたけど、黒髪?のせいか、性描写のシーンが妙に生々しくて、女性の地位の低さを感じた。男性が国の将来について熱弁をふるう一方で、貴族以外の女性はボンネットをかぶり、お茶を出したりするだけ。アルトワ伯の話に戻ります。アルトワ伯爵の存在を知ったのは、以前も書いたけど、池田理代子の「ベルサイユのバラ」。「え?ベルサイユのバラ?アルトワ伯出てたっけ?」と思われそうだけど、多分出ていたし、私にとって気になる存在になったスタートだ。この漫画では架空の人物だったらジェローデルが好きだった(オスカルが男だったら一番良かったけど)。アンドレみたいな黒髪民衆には興味ない(オスカルの軍人としての能力に敬意を払わず、男にしか見えないオスカルを女扱いするのが受け付けない)。フェルゼンに惹かれた事は一度も無い。とはいっても、この漫画を読んでアルトワ伯を好きになる要素はあまり無いはずなんだけど、何故か高校生の頃から気になっていた。今日まで年に数回は小ハマリして色々調べ回ったり、肖像画検索をしていた。90年代は泣ける位資料が少なかった。図書館に行って調べても、「女たらし」「放蕩児」的描写ばかり。しかし「アルトワ伯はハンサムでモテたんだろうな」と確信していた。漫画・アニメの登場人物に大ハマリする影で「マリー・アントワネットと仲が良かったらいいな」と小ハマリしてきた。2000年代に入ってからか、ルーヴル美術館展に行ったことがあった。「アルトワ伯爵と妹のクロチルド」という、貴族の子供のかわいらしい肖像画を見て、「あのアルトワ伯か?それとも名前が同じだけ?」と思いつつも絵葉書を買った。これがそう。はい、ルイ16世の末弟・アルトワ伯の幼少時代でした。この絵も好きだけど、18世紀末のフランス革命前後に描かれたと思われる、赤い服を着た肖像画が一番それっぽくて好きです。実物もこんな感じだったのかな?と。国王時代の肖像画を除くと、現在ネット上で最も出回っている伯爵時代の肖像画と思われます。最近まで、ほとんど彼に関しての情報が無いと思っていた。ところが少し見ないうちにミュージカルでかなり大きな扱いになっていた(悪役らしいけど)。漫画にゲーム・・いつの間にか知名度が大幅にアップし、アルトワ伯爵に関する情報が増えた。善人・悪人に関わらず扱いの大きさに嬉しくなった。最近大ハマリしてしまった。頭の中がベルサイユのバラの優雅なオープニングがグルグル回っていたりする。実在の人物もスラッと背が高くてハンサムな貴公子であり、プレイボーイだったみたいだね。良かった!私はやはりこういうのが好きだ。「三銃士」や「王妃マルゴ」などで有名なアレクサンドル・デュマの「王妃の首飾り」を古本で買った(上巻:マリー・アントワネット、下巻:若い頃のアデライード王女が表紙のやつ)。2002年に再販されて以来、絶版状態だった。アルトワ伯爵が素敵な貴公子として出てくるから落ち着いたらしっかり読もう。ちなみに小学生向けの小説だけど、このマリーアントワネット本はオススメ!電子書籍で購入してしまった。大人向けの書籍にすら描かれていないアルトワ伯が見られます。今は電子書籍があって良かった。堂々と小学生向けの小説も買える。(私の脳みその程度が知れるが)昔と違って、今は世界中の動画が見られるので、これまで知らなかった本国フランスの映画やテレビドラマも見ることが出来る。以下のフランス革命のテレビドラマ?に出てくるアルトワ伯が好みだ。※音が出ます!https://ok.ru/video/86080162522https://ok.ru/video/86125185754バルナーヴやバイイ、ミラボーも出てくる。このドラマ(その1、その2)とこの映画に出てくるアルトワ伯も悪くない。フランス語だから何言っているのか分からないけど、映像を見れば大体どんな状態か分かる。ダントンがヒーローで、悪役のロベスピエール、デムーランにマラー、ミラボーにラファイエット、サンジュスト、ルイ16世にマリー・アントワネット、ランバル公妃などの有名人が大役で出てくる以下の映画もオススメ。https://www.youtube.com/watch?v=-SP4iii_THQ&t=1654shttps://www.youtube.com/watch?v=E-6ruyZFfZsアルトワ伯は・・有名な俳優を起用しているようだけど、似てない・・フランス語だけど、登場人物の多くが有名な肖像画に似た感じの人を起用しているし、何の出来事なのか言葉が分からなくても楽しめるようになっている。ダントン、ロベスピエール、ラファイエット、デムーラン、サンジュストが好きな人にはオススメ。