(再)ルーマニア記 16
(注 再連載中。ここから読んだひとはパート1から読んでね。)ブカレストを出発するころには、もう日が暮れてそうになっていた。共産党本部が夕日に照らされて紅くうきあがっている。ブカレスト、さようなら。新しい発見をありがとう。ルーマニアコーラを毎日のんでいたギターとベースはお腹の調子がよろしくないようで、少しご機嫌斜めだ。(たしかにコカコーラのはずなのに、味が微妙に違うのはなぜか。未だに謎である)市外にでると、もう真っ暗。街灯がないので、山道でもはしっているかのようである。すると突然、「そういえば、ルーマニアは夜は絶対に走らないように、ってどこかに書いてなかったっけ?」ギタリストが思い出したように言う。「そうそう、主催者側からの手紙に念をおすように書いてあったと思う。」とベーシスト。「えーっ、って、もう走ってるじゃん!どうするの?」と心配になってくる私。「どうするのもなにも、今、走んなきゃドイツにもどれないよ。」という、メンバー全員一致の意見を聞いても、私の疑問ははれない。気になって仕方がない私が、「夜走るな、なんてどう考えても変だよね、、、、、」とつぶやく。「なにか、でるんじゃないの?」「なにかって、、、、、なに?」「例えば、、、、、吸血鬼、、、とかさ、、、」(キャ-ッッッ!)そうなのだ、このあたりは、トランシルヴァニア地方。何を隠そう、あの有名なドラキュラ伯爵のふるさと、なのである。そういわれてみれば、あたり一面にそんな雰囲気が漂いまくっているような気がする。森の奥には、屋敷があってそこからこうもりでも飛んできて生き血を吸ったりするのかもしれない。急にみちに迷ってたどりついたところがドラキュラの屋敷で、なかに案内された我々は、ディナーに招待されたが最後、順番に吸血鬼の餌食になってしまったり、、、、、。などど、空想しているうちに、もうたいへん怖くなってきてしまった。まるで、肝試しをしているかのような盛り上がりである。それをみたヴォーカルが、「だってさ、あのドラキュラ伯爵だって、実在の人物でしょ。血は吸わなかったとしてもさ、人間を串刺しにして楽しんだらしいよ、、、、」とさらにいじめる。「その人たちのさ、怨霊とかでたりして、、、、」と車内が大変もりあがっていたそのとき、突然、運転をしていたギタリストがハンドルをきった。キーッッッッ。「あぶねー」「なんだ、ありゃー!」とさけぶギタリスト。「でたー!」とさけぶ我々。ついに、怨霊でもでたかと思ってふりかえると、馬車、、、。しかも、ライトなし。「かんべんしてほしいよなあ、、、、、ドラキュラの僕のせむし男でも乗ってんじゃないのー」とまだ悪のりしている我々は、主催者がいっていたルーマニアの夜の危険の正体がわかって、感心するやら、あきれるやら。たしかに、街灯のない道を、ライトをつけていない馬車が走っていれば、それは大変あぶない。(じゃあ、「道路事情が悪いため、夜の走行はお気をつけ下さい」とか書いてくれれば良かったのに、、、)ドラキュラ疑惑がはれて、ホっとして、上をみると、そこには星空がひろがっていた。あまりにも、きれいなので、車をとめる。本当はこんなに、夜空には星があるものなのだ。街灯りにのまれて、普段はみえない星を前に、だれもが言葉を忘れた一瞬だった。とりあえずおわり番外編もよろしくねスコ-ピオンズに会う!番外編コスメ番外編ミルカ番外編