何やかやで何年も飲んでいると毎年かなりの数の新しい作り手を試している。が中でも気に入る作り手はホンの僅かで年に1~2もあれば上出来である。これはその中の一つ。まだ作り手は訪問していないが仄聞したところによると、「最近まで大手ネゴシアンに売っていたのだが娘の代になり瓶詰めを開始。お金が無いので樽を使わず村名はステンレスタンクで保管(エルヴァージュ)。新樽は0。」
最初に出会ったのは02。悪く言えば単純素朴。だがピュアでいてどことなく儚げでニュアンスに富むつくりであり、サヴィニーでもこんなクラシックなワインが造れるのかとちょっと感心した。03も決して悪くない。ブルゴーニュはVTを反映してちょっと凝縮が過ぎていて、ちょっとボジョレのようである。だがワインはピュアでストロベリーにちょっとフランボワーズが混じる。あくまでもフェミナンなところが好きだ。他の変な作り手のように作為を感じず安心して飲める。フィニッシュは中庸だがこのクラスでは悪くない。
ただ複雑さとコンフィチュールのような濃厚さを求める人には全く不向きであろう(濃いが濃厚ではない)。昔小学校の時に仲間内で「誰が好きかをお互いに言い合おう」と約束して自分が好きな人の名前を言った途端「○○は○○が好きなんだって」とクラス中で揶揄され傷ついた思い出がある(相手の方がもっと傷つたかも)。このワインがそれ程好きでなくても私を揶揄しないでほしい。かといってもう傷つく年でもないが。