カテゴリ:Degustation
15年程前に日本にも入って欲しいとこのドメーヌの事を書いたが、その後、首尾よく日本でも広く流通するようになり、固定ファンも付いたようだ。まずはめでたし。
コロナで一人飲みと言う事で久しぶりにこの作り手を飲んだのだが、その良さを再認識した。決してグランヴァンではない。寧ろVRのPCやGCとは対極的だ。そして翁のような緩い癒し系のワインでもない。端的に言うと単純、素朴、そして儚く可愛い。まるで年老いた爺が孫娘に持つ感情のようだ (段々とそういう感情が判る年代になって来た)。それは果実のトーンが高くピュアで瑞々しいからだからだろう。
この村にはBize、Chandon、Ecardという名手と言われる作り手もいるが、彼らのワインは得手して真面目すぎる位にきっちり作られていて概ね重心が低く(これは熟成を前提に作っているのだろうか?)結構飲み疲れするのだが (BizeはともかくEcardはVolnayやせめてPommardに畑があればもっと評価が高かったように思う)、このSavignyは真逆で軽快で自然に飲める。SavignyがMozartの小品とすれば、これらの名手のワインはマエストロとでも呼ばれる大家が緻密に計算し、コンサートホールで多数の聴衆の中で真剣に聴くのに対しこの作り手はちょっと上手い小学生が無心に弾くMozartの差だろう。前者のワインがワイン会で並いる猛者の中で開けられ吟味されるuptimeの状況に相応しいのに対して、このワインは一人仕事を纏めた後のdowntimeに楽しむワインだろう。同じSavignyでも全く違う。コロナ禍で一人飲みするシチュエーションが増えるこの頃、こういうワインは重宝するように思う。
15年前には確か樽を買うお金もなくステンレス直詰だった記憶が有るが、このワインを飲んで少し新樽の成分を感じた。成功したのだろう、これもめでたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021/02/10 04:29:48 PM
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