カテゴリ:女優系
母のビデオのキャビネットから、孝之は暇にまかせて見るビデオを探した。
カトリーヌドヌーブの昼顔を見た。 金髪、美女、娼婦、未経験者、パトロン、愛、名誉、欲望、こういったビデオを録画して、彼女はなにに感銘を受けるのか、あるいはそれを見た1960年代に思いを馳せるのか、、彼はそういった母の若い時代の、女の匂いに嫌悪した。 「腹が空けば、女は同じだ」 「そう」 父は言った、師範学校を出たインテリを妻にした彼には、落とせない女などいなかったに違いない。 しかし、彼のせりふは引っかかった。 「かあさんに、きいてみようか?空腹だったのかと?」 「だれにむかって口をきいているの?」 そこにはなにがあるのか 「父さん、生きている意味とか考えたことないでしょう」 「こつこつお父さんはやっているよ」 「その、自分のことおとうさんっているのやめろよ」 「だれにむかって口をきいているのかな」 「お父さんだけど」 彼はこちらを見ず、天井を見つめたままだった。 母は病状が悪化していた。昨夜は深夜までうめき声をあげていたが、近隣住民も、父も、私も、また猿芝居がはじまったくらいにしか感じなかったが、うるさいのでなかなか眠れなかった。 彼女は適正な治療の機会を失していた。 父はそんな彼女を利用して生きてきたので、表面だけは、いたわる振る舞いをしていた。 彼女は深夜まで、泣く、喚くを、続けたが、やがて疲れて眠ってしまった。 原因はTVの故障だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 24, 2005 02:52:28 PM
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