カテゴリ:キャリア系
いったいどうなっちゃうんだろう
不安を抱えてそのような疑問を抱えて僕は途方にくれていたが、彼女は有能な秘書のように、僕の話を理解して、てきぱきと仕事を処理した。 その横顔は可愛らしいだけでなく頼もしかったし、ここ最近僕のことでこれだけむきになってくれた女や女の子はいなかった気がした。それが親切ならば、親切な人だし、職務上そこまで、つまり納得のいく形で、僕の気持ちを慮ってくれるひとがいなかっただけ、彼女の仕事の処理能力や、僕の意思を汲んで、職務を追行している彼女の横顔に僕は恋をしたかもしれない。 だからそんなふうに僕の味方などいない状況で生き抜いていくのに疲れ果てていた僕はその新しい恋が僕のこの憂鬱なトラブルやバグだらけの午後に、彼女の優しさが沁み込んで来てしまうのだ。 そうこうしているうちに僕は元気になってしまって、じつはどうでもいいことばかりの僕の人生で、そのように彼女は一筋の明かりを僕の前に翳してくれたのだった。 そしてまた愛しているといわれないまま、困っている人を助けるという基本に忠実な彼女の理念は愛でなくても、十分に愛されていると感じるものだった。 親切にされただけで愛と感じてしまう僕の悪い癖は、家族の崩壊のなかで、家族愛のない状況にあって僕が、ほのかな優しさに取り縋るように、纏わりつく惨めな捨て犬の気分で彼女の足に絡み付いてじゃれている感じがした。 疲れ果てた僕はもはや通常ではなくなっていた。入院が必要な状況なのかもしれないが、主治医はなんとか僕がこの世界にぶら下がっていられるように、薬物の使用を進めてくれたが僕は拒否していた。薬物は世界を変えたが、変え過ぎるような気がしていたし、知人はケミカルな薬物に依存するのはよくないと言ってくれていた。要は、疲れないように生きる方法を見失うほど、暴走して僕は生きているらしい。一生懸命生きることはいいことだか、過ぎたることはちょっと問題がある、そして僕は途方にくれて、彼女にあった。とくに次に会う美女の予定がない午後には、彼女なしで生きていけるかどうか、俄かには信じがたいほどのすがる気持ちで溢れていた。 彼女は大きな一重のつぶらな瞳をして微笑んでいる。 「申し訳ございません」 僕のそばに立ち尽くして、自分の力のなさを僕に本心から詫びている。 「いいんだ、あなたは良くしてくれた。問題があれば管理職に僕からばなすよ」 「それは私になんとかさせてください、ご意向にそうように調整してみます」 彼女は乾いた唇で、そのMTGの壮絶さを想像させた。彼女は僕の弁護士のように弁舌を奮って、定型処理にこだわる頭の固い管理職を納得させようとしている。 僕は疲れ果ててもうすべて嫌になっていたが、彼女の優しさは僕を変化させて、僕にそうやって優しくしてくれるだけ、彼女のまごころを職業上のなにかと簡単に認識できない。 僕は彼女とすべてをすてて、穏やかな午後に紅茶とクッキーで彼女の微笑みにつつまれていたいだけなのだと悟った。彼女を誘って彼女の信頼を勝ち得て彼女を抱いて彼女とけんかしてまた仲良くなって、もっともっともっとふかく愛し合うようになるんだと、今後の人生の予定を考えてみたが、いまひとつそれも現実感がなくていやになってしまった。やはりいまの僕には薬物による暴走の規制しかないのだろうか、もしくは彼女が僕のささくれだった神経を沈静してくれるのだろうか。 僕はあらためて彼女の笑顔を見た。その清楚で無垢ないたいけな天使のような横顔を見た。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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