カテゴリ:だから
シフォンがひからびて、テーブルクロスの上の祝宴の残滓に、戸惑っている。裕子は電気を消して、来てしまった朝のいらだたしさのなかで、差し込む朝日をさえぎるための遮光カーテンを閉じる。 ワインのボトルが散らかると、かなり気分いい感じになる、貴之が私の部屋に泊まると、夜明けまで、お酒を飲みながら何度も愛しあって、朝が来たら遮光な空間のまま、またもういちど最初から愛しあう、そう、それはごく自然な現実で、わたしたちの間には皮膚というものしか介在しない、非常にまれな、曖昧のない、愛し合い方をしていた。そこには、感じるものしか存在しないために、むしろその皮膚の上の諍いなどそのなかで雲霧散消しながら、愛は一時間おきに生まれかわるのだった。 彼は私の体を確実に愛している。 私は彼の臨界点や飽和を制御している。 彼は私がいないと彼ではいられなくなる。 それは依存というより、同一ななにかだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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