2007/02/02(金)17:09
野宮の君
源氏の年上の彼女である野宮の君は、御所からかなりはなれた嵐山に住んでいた。
かなり綺麗で、知性のある、気品と、矜持の高さは、いいかんじだったが、やがてうざく感じられるようになったのは、タカピーな女だったからだった。
愛し合うまでは、そのタカピーさは、魅力だった、が、そのこまやかな情感は、いとしさからうとましさへ変化して、しだいに、嵐山へ牛車にのって、はるばる出かけるのに、うんざりしてきた。
一方そういった悲恋のヒロインである野宮の君は、情念に取り付かれて、やがて生霊となり、その後の源氏の恋愛のいろいろな場面に、生霊として登場し、最悪の結末を、その色恋沙汰に、起こすことになる。
彼女はほんとうは源氏が好きで好きでたまらなかったが、そういう感じをあまりださなかったので、源氏もいまひとつ盛り上がれないでいた。
「あのさ、源氏ちゃん、最近なんで夜這いにきてくんないの?」
「うぬ、ちょっといそがしいのさ(うぜえいいかただなあ)」
「今夜はとまってくでしょ」
「ちょっと明日会議だから、かえらなくちゃ」
「そうなんだ、わかったわ」
「なにがわかったの?」
「ま、いいか」
「じゃ、かえるね」
つづく