カテゴリ:幸せな愛
「山崎部長 進捗どうなってるんですか」 振り返ると高木秘書が眉間にしわをよせて、バインダーを抱えて立っている。 通称ハーレムの部長のブースのかわいいアシスタントたちに、緊張が走る、僕は高木の足の、フェラガモの磨き上げられてピカピカな、つま先をみながら言った。 「どうなってるもこうなってるもないよ、なあ、勅使河原」 全体を最近デレクターにしたばかりの、田町に住む美少女系のデザイナーにふった。 「そうなんです、わたしがつくった画像、二週間分きえちゃったんです」 かわいい子はなにをやってもかわいい。 「山崎部長 バックアップシステムはどうなってるんです?」 高木秘書は眉間のしわをひくひくさせながらそういった。 「取締役にきいてこいっていわれたの?」 「質問にこたえてください」 「わたしがそのバックアップごとこわしちゃったんです」 勅使河原はじっと廊下のほうをみたままで言った。 「あなたにきいていません」 高木秘書は毎月数回こうやってプロジェクトルームに怒鳴り込んでくる、どこかからねたを仕入れて、だれかにたのまれて、フロアじゅうに聞こえるくらいの大声だ、難聴なんだろうか。 「どうしたの」 ひょいとパーテーションから コピーライターの川島部長が顔をだした。 「あ。川島部長、山崎部長が、、、。」と高木が話しかける 「ああ はじまった なきおとしだよ」 ゆうこがつぶやいた。 「まあまあ ここじゃなんだから、、、」 川島部長は 高木秘書をつれて表参道のカフェに避難した。 「@_@ ふう あぶなかったな、勅使河原、ありがと」 「いえ、わたしはいいんです」 「高木ってさあ、ぼくの上司だったっけねえ」 「あのひとここにはいりたいんですよ」 「そか じゃ僕が秘書になればいいんだなあ、どなりこんでみたいもんだ」 ゆうこが ためいきを ついて 「ああは なりたくないもんだよなあ」といった。 こいつはだまってりゃいい女なのになあと思いながら、勅使河原がぶっこわした二週間分のデータをどうするか考えると、ちょっと酒が飲みたくなった。 「おお、今夜あたりどうだ」 「みんな むりです」 「そうか」 ここはハーレムだが、彼氏のいるかわいこちゃんばかりで、どうも、人選に失敗してばかりだなあと、ふと僕はため息をついて、たまには自由が丘にでも、のみにいこうかなと考えて、時計をみると16時だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 27, 2007 08:23:01 PM
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